お腹を壊す原因はさまざま
お腹を壊すのは体の防御反応かもしれませんので、とにかく下痢止めで止めてしまえばよいというものでもありません。お腹を壊しやすい人は、どんな食品と相性が悪いのかを把握することが大切です
お腹を壊す原因には、ウイルス、バクテリア、寄生虫、抗生物質の使用、低カロリー甘味料、食物・飲料への不耐症、ストレスなどがあります。下痢は常に悪者扱いされがちですが、体の中の有害物質を体外へ出すための、体の防衛反応の場合もありますので、どんなときにもすぐに下痢止めを飲めばよいというものでもありません。
食品や食器の衛生にも注意することも大切です。今回は、食事や飲み物によるお腹の不具合についてお話しします。下痢があるときは、スポーツドリンクなどで十分な水分補給を心がけ、不調が長引くときは、きちんとドクターに診てもらいしょう。それではお腹を壊す原因になりやすい食べ物をチェックしましょう。
まずはラクトースでお腹を壊しやすいかをチェック
牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)。分解酵素が不十分だと下痢を起こすことがあります。下痢にはならなくてもお腹が張ったり、おならが出ることがあります。赤ちゃんの頃は乳が栄養源ですので、十分な分解酵素がありますが、乳以外のものを食べられるようになると、この分解酵素の量が減っていきます。ラクトースというと牛乳というイメージが強いですが、牛乳以外の乳にもラクトースは含まれます。牛乳に菌を入れればヨーグルト。同じ物なのに違う物になるって何だか不思議です。
改善方法としては、牛乳やアイスクリームなどを多く摂取するのを避けるか、逆に一般的な量を毎日摂取し続ければ(例えば牛乳200~250ml)体が適応して酵素の活性がアップするとも考えられています。
低カロリー甘味料でお腹を壊しやすいかをチェック
低カロリー甘味料の一つである糖アルコールは、その性質から完全に吸収されないので、摂取しすぎると下痢、お腹の張りやおならの原因になることがあります。糖アルコールには、ソルビトール、キシリトール、マルチトール(還元麦芽糖)などがあります。低カロリー甘味料としてダイエット飲料や食品に使われている他にも、菓子・パン・煮豆・調味料類・佃煮・珍味・漬け物・水産練り製品などに含まれていることがあります。私の場合、マルチトールとソルビトールとの相性が悪いようで摂取するとすぐにお腹の調子が悪くなってしまうので、避けるように努力しています。
ラクトースなどと同じように、日常的に摂取すれば体が慣れるという報告もあります。慣れさせるか、避けるかは個人で判断したいところですね。
お腹の環境が整っているかをチェック
ヨーグルトや納豆に含まれる菌であるプロバイオティクスは、腸内の環境を整えてくれますので、日頃から食べるとよいでしょう。特に抗生物質を服用している場合、良い菌も悪い菌もやっつけてしまうので、服用している人は意識してヨーグルトなどを食べてお腹の環境を整えてみましょう。食物繊維には下痢と便秘の両方を改善する働きがありますが、日常的に食物繊維や水分量の摂取が少ない人が、突然食物繊維が多い食事をすると(例えば、野菜・根菜・きのこ・こんにゃく・海藻などがたっぷり入ったお鍋や煮物など)、お腹をこわしたり、お腹が張ったりする場合もあるようです。食物繊維は急に量を増やすとお腹の不調をもたらすことが知られています。日頃からたっぷりの野菜・果物・雑穀類等を食べたいものです。
刺激が強いものは量をコントロールする
コーヒー、アルコール、辛いものなど刺激が強いもの、また脂肪が多いものは胃腸の負担になるので、お腹の調子が悪い時は避けましょう。お腹を壊しやすい人は、刺激物の摂取量を減らしたり増やしたりして自分の体の反応を確認するのもよいと思います。現在私が住んでいるアメリカでは、“お腹にやさしいコーヒー”も売られるようになってきました。この会社によると、酸味、刺激物の量を調整するようにして胃にやさしいコーヒーを作っているそうです。カフェインがあっても無くても胃腸の調子が悪くなる人がいるようです。刺激物への反応は個人差が激しいので、自分で調整してみるしかなさそうですね。