世界のパレード事情
欧米では、まずは同性愛を非犯罪化すること、差別や暴力を禁じること(憎悪犯罪防止法など)、メディア上での差別的表現をやめさせること、職務上の差別をなくすこと(教職や軍など、特定の職種にゲイが就くのを禁じたりするのをやめさせる)、同性パートナーの権利を認めること、子育ての権利を認めること、学校の授業でも同性愛について教えること、などといった権利の獲得を求め、毎年パレードを大きくしていき、それと同時に様々な団体が行政や議員に陳情しに行ったり(ロビーイングと言います)、そうした活動によって、一歩一歩、ひとつひとつ、前進していきました。ハーヴェイ・ミルクが有名ですが、ゲイの政治家も現れました。『ミルク』という映画をご覧になった方も多いと思いますが、まだの方はぜひ観てください。
パレードは、そういう活動家だけでなく、市井のゲイやレズビアンが集まり、大きな集団として社会にアピールする(ビジビリティを高める=見えるようにする)機会であり、コミュニティの祝祭でもありました。また、いろんな団体の日頃からの活動を讃えあい、企業や政治家がゲイフレンドリーさをアピールするような場でもありました。
パレードはどんどん大きくなり、シドニーあたりでは株式会社化して何十億円が動く一大プロジェクトになりました(約10年前に経営破綻を起こしましたが…現在は州の後援を受けて団体ベースで運営されています)
サンパウロでは300万人がパレードします(ぶっ飛び!ですよね)。ニューヨークでもサンフランシスコでもロサンゼルスでも、ロンドンでもパリでもベルリンでもアムステルダムでも、何十万人とか百何十万人とかの規模で開催されています。
大きなレインボーフラッグがはためき、ドラァグクイーンやマッチョなイケメンがゴージャスなフロートの上でダンスし、セレブや市長などもいっしょに歩き…といったスタイルは万国共通です。
そういうことが世界中にニュースとして報じられることにも大きな意味があります。
そういうわけで、欧米の主要な都市であれば、パレードは毎年必ず開催されています。(オランダのように同性婚がすでに認められていようとも、完全にゲイとストレートが平等になったとしても)
欧米だけでなく、日本をはじめ、台湾(数万人規模でアジア最大)や香港、フィリピン、タイ、韓国、ネパール、インドなど、アジアの諸地域でもパレードが開催されてきました。中国など、まだ同性愛に厳しい(当局の弾圧を受けるような)国では未だ開催されていません。
こうして見ると、完全にイコールではないものの、パレードはその都市/国の寛容度やコミュニティのパワーを知るバロメーターになっていると言えると思います。