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魅力たっぷり!観光&商業都市、広州市/広東省

広州は北京、上海に並ぶ中国三大都市の一つ。香港に隣接するという地の利を生かして先陣を切って発展したことから、商業都市というイメージが強いのですが、その実、見ごたえある遺跡が豊富に残る観光都市でもあるのです。アクセス方法から観光スポット、広東料理にいたるまで、ここではそんな広州の魅力を様々な角度から紹介します。

鈴木 晶子

執筆者:鈴木 晶子

中国ガイド

華南エリアの最大の都市・広州

海味街

港町を彷彿させる一徳路の海鮮問屋街「海味街」 (C)広東省中国旅行社

広州は珠江デルタ地帯の北部に位置する港湾都市で、北京上海に並ぶ中国三大都市の一つです。改革開放後、香港に隣接するという地の利を生かして中国全土の先陣を切って発展したことから、商業都市というイメージが強いのですが、その実、2000年以上の歴史を持つ古都でもあり、見ごたえある遺跡が豊富に残る観光都市でもあるのです。ここではそんな広州の魅力を様々な角度から紹介していきます。

中国と異国が融合した広州文化

広州・聖心堂

パリのノートルダム大聖堂を参考に建築されたゴシック建築のカトリック教会・聖心堂 (C)広東省中国旅行社

広州は4000年以上前の新石器時代には南方民族・越族が住んでおり、紀元前10世紀頃にはすでに王国を築いていたといわれていますが、広州の歴史の幕開けは、中国を統一した秦の始皇帝が広州に南海郡番禺県を設置した時とするのが一般的です。ともあれ広州は2000年以上の歴史ある町で、古くから海外貿易の中枢でした。唐代には町の東部にある黄浦港が海の起点となり、清代には鎖国政策下、唯一の貿易港として繁栄を極めました。

しかし、清代末期にアヘン戦争に負けた清朝政府が南京条約を締結した結果、広州、アモイ、福州、寧波、上海の五港が開港となり、貿易の中心は上海へと移っていき、広州の町は失業者であふれたといいます。その後、広州の町が息を吹き返すのは、1978年に始まった改革開放政策以降。香港からわずか180キロという立地条件を活かし、対外貿易の窓口として、また中国有数の工業都市として発展を遂げたのです。そんな風に一貫して貿易港として栄えてきた広州には、異国文化が自然に溶け込んだ独特の文化が存在しているのです。

 

広東語を誇りとする広東語文化圏

広州陶陶居

1880年開店の老舗レストラン「陶陶居」。言葉だけでなく、食にも中国一という自負を持つ広東人 (C)広東省中国旅行社

中国各地方のそれぞれ方言は、中国の標準語「普通話(北京語)」とは大きく異なり、その差は日本の“方言”を遥かに上回るもので、もはや外国語と言ってもいいぐらいなのです。2001年に「国家通用語言文字法」が制定され、国をあげて普通話普及活動に取り組んでおり、一定の成果は生んでいるものの、広州は普及率最低レベルの都市の一つとされています。

それというのも、広東語は香港やマカオのほか、世界の華僑の共通語として使われていることから、中国本土カラーが濃厚な普通話より、“カッコいい”と思われているからです。今では普通話のように使われている「お勘定」という意味の「買単(マイダン)」や、「タクシーを拾う」という「打的(ダーディ)」などは、広東語に憧れる若い世代が広めたと言われています。

2011年、広州の地元テレビの広東語チャンネルを標準語に改めるべき――という動きに対して、地元市民が強く反発し、2000人以上が集まる抗議集会にまで発展しました。それに対して、広東省政府は「批准を受けている限り、広東語などの方言放送ができなくなることはない」と明言したのですが、そんな一連の動きからも広州人の広東語へのこだわりを強く感じられます。2015年現在「普通話(標準語)を広め、広東語を残していく」という考えのもと、テレビやラジオといったメディアでは依然、広東語のコンテンツも発信されています。

とはいえ、最近ではホテルやレストラン、観光地などでは普通話は通じますし、若い世代を中心に普及率は上がってきているようで、広東語が話せないと旅行できない、というようなことはありません。

 

成長を続ける「世界の工場」広州の経済・物価

広州市北京路

派手な看板が並ぶ北京路。どことなく香港を思わせる活気ある街並み (C)広東省中国旅行社

中国では「広東=工場地帯」というイメージが強く、「広東で製造できないものはない」と言われています。そんな広州の象徴するイベントが「広州交易会」。毎年4月と10月の2回開催される貿易展示会です。第一回目が1957年と歴史ある、中国最大の交易会です。かつては中国国内企業のみの参加だったのですが、2007年春季(第101回)から、外国企業も出展できるようになり、現在では世界200ヶ国以上の国・地域から22万人近くのバイヤーが参加する世界最大の交易会と成長しました。

2014年度の広州市のGDPは前年比約8.8%増、16年ぶりに2桁成長がストップしました。それでも中国全土の7.4%という数字を上回り、伸び率は上海、北京をしのぐ成績でした。経済成長は順調かにみえますが、市民の経済全体の発展に対する満足度は2010年の57%から45%に下がり過去最低の数字となりました。これは、中国全土で問題になっている急激な物価上昇、貧富の二極化が、広州市民をも悩ませている結果です。実際、広州に住む日本人の多くが「思ったより物価が高い」と感じています。一昔前までは「かなり安い」と言い切れたのですが、今では「日本とそう変わらないと」というのが現状。特に、医療費や教育費は日本よりずっと高く、市民の生活を脅かしています。
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