『にじ色ライフプランニング入門』
にじ色ライフプランニング入門 ゲイのFPが語る〈暮らし・お金・老後〉
永易至文/太郎次郎社エディタス/1300円+税
永易さんは、数年にわたって二丁目のコミュニティセンター「akta」で「同性愛者のためのライフプランニング研究会(LP研)」という催しを開き、参加者の方たちと話し合ったり、リアルな声を集めたりしてきました。そうした地道な活動の成果をまとめたのが、この『にじ色ライフプランニング入門』。シングルの人も含めて、誰もが直面する「お金は続くのか?」「老いた親の介護どうする?」「子のいない自分の老後はどうなる?」といった悩みに答えてくれる一冊です。FP(フィナンシャルプランナー)の資格も取得した永易さんが、現行の社会保障に関する制度の基本知識や、同性愛者ならではの視点からのアドバイス、誰もがふつうにできるお役立ち情報をわかりやすく紹介しています。(今回、本の発売と同時に、にじ色ライフプランニングセンターも開設されました)
パート1「知っておきたいお金と社会制度のこと」では、ふだんあまり意識していないかもしれない家計簿の見直しから始まり、借金をしない、カードで買い物をしない、給料から自動積み立てする、使える所得税控除は最大限使う、など、身の丈に合ったお金のプランニングや、社会保険および税金の基礎知識についてのわかりやすい解説が施されています。
パート2「気になることとの向きあい方——住まい、保険、病気」は、「住まいは購入と決めてかからず、自身のライフプランと合わせて検討する」(買ったほうがおトクと言うけど、生涯住宅費用としては賃貸とあまり変わらない)、「生命保険や医療保険には入らない」(これ、とても斬新な説だと思います。ぜひ読んでみてください)、「何かあったときのための緊急連絡先、発見してもらえる体制を用意する」(本当に重要。今すぐやりましょう)など、たぶんこの本の中で最も「目からウロコ」な情報がいろいろ載っています。
パート3「中年期の難関は『老親』問題」は、親の介護やお別れについて、実際の体験談などもまじえながら、介護保険のこと、成年後見制度のこと、相続などの基礎知識や心構えについて語っています。
パート4「同性愛者として迎える老後」は、自分自身が老いたとき、お金や住まい、介護のことをどうするか、パートナーとの関係を証する遺言状作りなどについて語っています。
同性パートナー生活読本 同居・税金・保険から介護・死別・相続まで(プロブレムQ&A)
永易至文/緑風出版/1700円+税
「老後の来ないゲイはいない」と謳われているように、この本では特にシングルの方の老後の問題がフィーチャーされていると思います。年老いて体も思うように動かなくなってきたとき、住む家はどうするのか、お金は大丈夫なのか…。永易さんの結論は「老後の住宅をあくせく心配するより、今はお金を貯める! 健康と体力の維持に努める! そしてまずは『60代のなりたい自分』を考えるべし!」でした。
次の章では、ゲイの老後についてゴトウが考えていることを少し付け加えてみたいと思います(実は老後とかあまり考えていなかったので、四苦八苦だったのですが…)