朝起きて身支度し、出勤。いつもの仕事を終え、帰宅。あたりまえの毎日が続くと忘れがちなのが、万が一の備えです。前回のガイド記事、「シングル・ディンクスの万が一、あなたはどうする」の前編では、日本に住まいをかまえる以上、自然災害に遭遇することを前提にマンション選びをする必要があるとお話ししました。備えを考える際のキーワードは、「ヒト」「モノ」「カネ」そして「情報」。前編では、それぞれのポイントと「ヒト」についてお伝えしましたが、後編は、「モノ」「カネ」、そして「情報」です。マンション選びの参考になれば嬉しいです。

「モノ」で備える

kizasi

マンション選びのこだわりも、変化の兆し?

災害はいつ起こるかわかりません。その時あなたはどこにいるのでしょうか。職場? 自宅? それとも外出先? 職場や自宅では、防災グッズを備えておくことができますが、外出先だと、自分で身に付けておくしか方法がありません。東日本大震災を機に、企業が防災グッズや緊急時の水・食糧の備蓄など、対策を見直したケースが多くありましたが、あなたも、スニーカーやお泊まりグッズなどを会社に備えるようになったかもしれませんね。

マンション選びの新しいトレンド

自分にぴったりのマンションを選ぶには、事前準備が欠かせません。その一つは、希望条件をすべてピックアップし、優先順位を決めておくこと。いたるところで私がお伝えしている事前準備の一つです。さて、マンション選びに対する希望条件のあなたの優先順位は、大震災後、変化しましたか?

「遠くても、始発駅で座れればいいと思っていたけれど、帰宅難民になるのはいや。会社まで徒歩圏、せめて自転車でいけるくらいの距離がいい」「坂道はいやだと思っていたけれど、高台のマンションも検討してみたい」「これまでまったく気にしていなかったけれど、耐震構造や地盤についても勉強して探したい」など。ご相談者の話を聞いていると、こだわりポイントが増えたり、変化したりしています。

とくに、大震災以降は、各マンションとも、防災グッズの備え、水の備蓄といった緊急時対応についての説明を強化しています。モデルルームでは、「へぇー」「ふーん」と感心するだけでなく、自分が災害に遭遇している場面をイメージし、触ったり使ったりと体感しながら、担当者の話を聞くことが大切です。耐震、免震、制震など構造や地盤についてもぜひ聞いて情報収集してください。

今すぐできる、モノ選び

住まいという、自分の身を守ってくれる器を準備することはとても大切です。ですが、それだけでは不十分。あなたがやらねばならないのは、器の中身の備えです。いざという時に何を持ち出すか。リストアップはできていますか。それらの保管場所は明確ですか。万が一のときに、無意識にでもつかんで飛び出せる。そのような備えができていると安心です。リストアップして、付箋に書き、手帳に張り付けておく。リストアップする際に、それがどこにあるかを考えるので、リストアップするだけでも効果があります。

もちろん、最も大切なのは生命。「モノ」は、身の安全の確保に優先するものではありません。

次ページでは、「カネ」で備える、について考えます。