3つの財布=口座を用意しよう
手持ちの3つの口座を使い分けて
すべての振込先を同一の口座に指定すると、収入を1カ月単位で把握するのはかなり難しく、その結果「使い過ぎてるかどうかさっぱりわからない! まあいいか」と適当になってしまう人が少なくないようです。それを防ぐためには、口座を3つ準備して、年間の生活費の収支管理を行うことを提案します。
●第1の口座=「収入用」の口座
リタイア後の収入、主に公的年金や企業年金を一括管理する口座。税金や社会保険料などの非消費支出や生命・損害保険料など、生活費以外に支払うものをこの口座から引き落とすと、生活費の管理がしやすいようです。
●第2の口座=「支出用」の口座
1カ月の生活費(食費、水道光熱費、通信費、交通費、交際費、教養娯楽費など)を管理する口座です。クレジットカードで購入するときも、この口座から引き落としましょう。
●第3の口座=「生活費補てん用資金」を管理する口座
一生涯の生活費の補てんとして準備している資金を管理する口座です。毎年一定額をこの口座から第1の口座に振り込みますが、その金額が増加し続ける場合は、収支と補てん用資金の見直しをすぐに行いましょう。
収支トントンでも赤字の危険性が
現在は若干ゆとりがある家計でも、安心するのは早計です。平成26年4月からジンワリと税金や社会保険料関連の負担が増えています。例えば、消費税率が5%から8%に、70~74歳(昭和19年4月2日以降に生まれた人)の医療費窓口負担割合が1割から2割(高額所得者は3割のまま)に、国民健康保険課税限度額(年間)が77万円から81万円に引き上げられました。
さらに今後も、次のような負担増が予定されています。
消費税率が8%→10%
●平成27年8月から
一定の収入以上の人の介護保険利用負担割合が1割→2割
●2015年1月診療分から
70歳未満の人の高額療養費の自己負担限度額と算定基準額の見直し
一方で、老後の収入の柱である公的年金の給付は、「マクロ経済スライド」の完全実施と見直しにより減額が避けられません。現在収支トントンの家計では将来的に赤字になる可能性があります。金融資産にそれほどゆとりがない場合は、できるだけ早く支出を見直し――単に切り詰めるのではなく、夫婦の価値観に合う支出は充実させ、それ以外は思い切ってカットする――将来の赤字補てんに備えることをおすすめします。