ストレス/人間関係・人付き合いのストレス

「許せない!」 憎しみの感情を「まあいいか」に変えるには? 怒りを引きずらないための2つのコツ

【公認心理師が解説】嫌なことを言われたりされたりしたとき、ムッとする瞬間は誰にでもあるものです。一方で、怒りを引きずるかどうかはコントロールすることができます。「怒りを引きずらない人」が習慣にしている思考と行動の2つの特徴をご紹介します。

大美賀 直子

大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、カウンセラー、作家、セミナー講師として活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。

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イライラする人

ムッとする瞬間は誰にでもあるもの。いつまでも怒りを引きずらないコツは?

嫌なことを言われてムッとしたり、嫌なことをされてイラッとする瞬間は誰にでもあると思います。しかし、その怒りを引きずる人と引きずらない人には、心の持ち方に大きな差があります。

たとえばせっかく世話をしてあげたのに、その恩も忘れて何もなかったのように相手から無視され、失礼な態度をされたとしたら、誰でも頭にくるものです。この怒りは人間として自然な感情ですが、その後の感情の持ち方は、それぞれの考え方によって大きく変わってきます。

一つは、いつまでも怒りを引きずり、「憎しみ」の感情にまで発展させてしまうタイプ。もう一つは、怒りをうまく受け流して引きずらないタイプです。この差は、いったいどこから来るのでしょうか? 怒りを引きずらずに心の安定を保つための、2つの方法をご紹介します。
 

1. 「第一感情」を素直に伝え、「第二の感情」である怒りに火をつけないようにする

怒りを引きずらないタイプの人が、無意識のうちにとっている思考や行動には2つの特徴があります。

1つ目の特徴は、怒りより先に湧く「第一感情」を素直に伝えているということです。

怒りは「第二感情」と呼ばれ、その前には必ず「第一感情」という別の感情が湧いています。先のように、他人から失礼なことをされたときに感じる怒りの感情(第二感情)の前には、たとえば「こんな態度をされるなんてがっかりだ」「あの人がこんなことをするなんてショックだなぁ」といった感情、つまり第一感情が必ず生じています。この第一感情を自覚していれば、第二感情である怒りの感情を無駄に刺激せずにすむのです。

たとえば、「失礼なことをされて心からがっかりした」というように、怒りの前に生じた第一感情を思い返してみましょう。そして、がっかりして傷ついた自分の感情をしっかり受け止め、「つらいよね」「ショックだったね」というように慰めましょう。

さらに、相手や他人に自分の思いを伝える際には「あのときはとてもがっかりしたんだよ」「軽くあしらわれたようで、ショックだったんだよね」というように第一感情の方を伝えてみます。このように第一感情をしっかり認識し、その感情をしっかり慰めていれば、怒りの感情にいたずらに火をつけることもなくなります。
 

2. 「失礼な人」に振り回されないために、相手の背景を想像して受け流す

怒りを引きずらないタイプの人が、無意識のうちにとっている思考や行動の2つ目の特徴は 「なぜ相手はせっかく世話をしてくれた人に失礼な態度をとったのだろう?」というように相手の心情や起こった状況を考えてみることです。

先の例で考えれば、本来、心ある人なら世話になった人にはお礼の気持ちを表し、相手に敬意を払うものです。なのに失礼な態度で接してしまうのは、本人の未熟さや常識の欠如、思いやりを学ぶ機会の乏しさなど、何らかの原因があることが考えられます。

多くの場合、お世話になった人への敬意のある行動は、成長する過程で他者とのかかわりのなかで身につけていくものですが、それが身につけていないということは、本人に悪気があるからではなく、常識を身につけられなかった何らかの事情や要因があるのかもしれません。

このように考えていけば、相手への怒りの感情は消え失せ、むしろ同情や心配、「温かい目で見てあげなければ」という許しの感情に変わっていくでしょう。
 

怒りを引きずってしまうとき、心で起きていることは? 怒りと心の成熟度の関係 

つまり、つい怒りを引きずってしまうのは、「第一感情」への気づきが薄く、相手の心情や背景を考える洞察力が乏しいという自分自身の心の未熟さゆえとも考えられるのです。

かくいう私自身も以前はよく怒りを引きずっていました。人に何か失礼なことを言われると「あの人は嫌な人!」などとレッテルを貼り、嫌なことをされるといつまでも根に持ったりしていました。しかし、カウンセリングの勉強を重ねるなかで「第一感情」への気づきと他者の心情や背景への洞察の重要性を知り、怒りを引きずることが少なくなっていったのです。
 

ストレスを溜め込まない! 感情をコントロールして人間関係をラクにするコツ

怒りは自然に湧く感情であるがゆえに、なくすことはできません。「怒らないようにしよう」「いつも笑っていよう」などと心がけるだけでは、ストレスがたまってしまいます。

また、怒りの感情を持つことは悪いことではありません。怒りの感情があるからこそ、相手に何としても自分の思いを伝えたいという意思が生まれ、行動につながります。しかし、怒りをいつまでも引きずって憎しみにまで発展させてしまうのは、自分の感情への理解が足らず、相手の事情を洞察する力が十分に育っていないからなのかもしれません。

怒りのコントロールは難しいことではありません。怒りが湧いたときには、怒りという「第二感情」に振り回されるのではなく、「第一感情」に意識を集中させて「失礼な行動をとった背景には何があるのか」と行動の背景を洞察してみることです。

この2つのことを意識的にやるだけで怒りを引きずることは少なくなり、今までよりもゆとりを持って生活することができるようになると思います。
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