パワーも十二分、12気筒よりもスポーティに

ベントレーコンチネンタルGTV8

最高出力507ps/最大トルク660Nmを発生する4リッターツインターボエンジンを搭載。これはW12エンジンより68ps/40Nm低い数値となる。新設計のクロスレシオ8ATを組み合わせ、4WDシステム(トルク配分は40:60)も備わる。V8エンジンには可変シリンダーシステムを装備、クルージング時などに8気筒から4気筒へと変換する

まずはナヴァッラサーキットでクーペのGTを試す。フルフェイスのヘルメットをかぶってスターターボタンを押しても、W12とは明らかに違うエンジンサウンドが身体に伝わってきた。ピットレーンを走り出して、まずは新エンジンの力強いタッチにひと安心。W12にくらべて、さほど重量は変わらないのにパワースペックではっきりと劣っている(といっても以前のW12と大して変わらない)ため、最初の動きが鈍重だったら何もかもぶち壊したぞ、と心配していたが、それも杞憂におわった。クロスレシオの8ATに拠るところも大きいのだろう。なかなかキレ味の鋭いダッシュでピットレーンを飛び出した。

おそらく試乗車は、期間中、サーキットでかなり酷使されてきたのだろう。タイヤはがたがただし、ブレーキング時もジャダーが出ていたけれど、そんなコンディションで走っても感動したのは、前アシのさばきの良さだった。車両全体のバランスと一連の動きのリニアリティで、ドライビングファンを導きだしている。巨体を忘れさせるドライバビリティがある。

エンジンパワーも十二分だ。むしろ、パワー感と官能フィール(サウンドを含む)とのバランスが見事で、W12よりもベントレーらしい。そう、やっぱりベントレーには8気筒が似合うのだ。鋭さ、確かさ、軽やかさ、頼もしさ、すべてに渡ってW12モデルより確かに“スポーティ”な仕上がりだった。

“肩の力を抜いた”感覚が心地よいソフトトップ

ベントレーコンチネンタルGTCV8

0-100km/h加速はGTが4.8秒、GTCが5秒となる。燃費はW12より約40%向上しているという

こんどはGTCのV8で一般道を走り出した。優雅で堅牢なソフトトップをもちろん上げて、走る。スペインといっても2月はまだ風も冷たい。ネックウォーマーを利かせれば、なるほど心地よくクルージングできる。頭上に風を感じながらのドライブは、クーペのそれと遜色のないもの。多少のゆるさがかえって“肩の力を抜いた”感覚となり、心地よく感じられる。

新パワートレインは、アウディ用と同様に気筒休止がウリ。音とビジュアルで8→4を分からせてくれるAMGのようなブランドもあったが、ベントレーはそこまで“でしゃばり”じゃなかった。休止の作動は、ほとんど分からない。なるほど、アクセルペダルを踏むか踏まないかというクルージング時など、“薄味になったかなあ”と思う瞬間もあったけれど、V4モードをはっきりと体感することは難しい。

それよりも、じわじわと加速するときなど、ややザラついた、いかにも燃料が薄く感じられるときがある。CO2排出量をW12モデルの2/3とした新パワートレインを、“ああ、たしかにヘルシーになったよな”と思うのは、そういう瞬間だった。

サーキットでみせた実力そのままに、大陸(コンチネンタル)のカントリーロードを軽快にこなす。W12モデルよりも大きさを感じさせないのは、サイズとキャラクター、そしてパワースペックのバランスが取れているせいだろう。そして、ドロップヘッドゆえ全身をふるわせる力強いV8エンジンのエグゾーストノートに溺れて……。