大人だからこそ楽しめる、豊かな絵本の世界
絵本は、「文章がよく読めない子どものための本である」と思っていらっしゃる方はいませんか? 最近では、「そんな考えはもう古い」と言えるほど、大人が自分自身のために絵本を選ぶことも多くなってきました。絵本を開くと、わずか10分で世界が変わります。それは子どもだけに許された特権ではありません。絵本には、大人ならではの楽しみ方も用意されています。ただ絵や文章を楽しむだけでなく、子どもの頃を想い出したり、癒しを得たり…… 絵本は、活字だけの本にはない魅力をたくさん持っています。そこで、今回は人生経験を積んだ大人だからこそ楽しめる、豊かな絵本の世界をご紹介します。
絵本で刺激的な旅をする
毎日が同じことの繰り返しに思え、ふと旅に出たくなることはありませんか? 旅の醍醐味は未知との出会い。たとえ観光バスに揺られる団体旅行であっても、初めて見聞きするものは刺激的で、それは間違いなく旅の魅力のひとつです。「それはわかっているけれど、忙しくて、旅に出る暇がない」とお嘆きの方に、絵本旅行をご提案します。行き先も日程も(?)読者のお気に召すままの「ひとり旅」をどうぞお楽しみください。それでは早速アメリカに旅立ってみましょうか。お洒落で洗練された街ニューヨークに遊ぶ、「大人の旅」をお約束します。
■ジス・イジ・ニューヨーク
プラハ生まれの絵本作家サセックが、遊び心溢れる視点で世界の都市を描いた、「This is…」シリーズの中の1冊。50年以上前に描かれた本なので、人も車も街並みも60年代そのものですが、不思議なことに全く古さを感じません。どのページを開いてもニューヨークにいるかのような臨場感があり、観光気分を目いっぱい味わえる絵本です。
【書籍DATA】
ミロスラフ・サセック:作 松浦弥太郎:訳
価格:1680円
出版社:ブルースインターアクションズ
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観光旅行のような普通の旅では物足りないという方も、絵本旅行にお任せください。今度は、壊れてしまった古いぶどう酒びんと一緒に、現実では決して体験することのできない「人生」という名の旅にご案内します。
■ぶどう酒びんのふしぎな旅
主人公は、貧しいお婆さんの飼い鳥の水飲み用に置かれたぶどう酒びん。実は、このびんは、お婆さんが少女だった頃、その婚約の席であけられたぶどう酒びんでした。使われては、捨てられ、また拾われて、様々な人の手に渡るぶどう酒びんの旅が、時に少女の人生と交錯する味わい深い物語です。息をのむほど美しい藤城清治さんの影絵が、もの悲しいストーリーの中に人生の喜びや美しさを感じさせてくれる、大人のための絵本です。
【書籍DATA】
藤城清治:影絵 アンデルセン:原作 町田仁:訳
価格:3000円
出版社:講談社
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