地震でエレベーター停止
高層マンションのデメリット対策の今
東日本大震災は、便利で快適といったマンション暮らしという認識を大きく変えました。東日本の広範囲のエリアに、大きな揺れをもたらし、エレベーターが停止。高層階に住む方には大きな困難をもたらしました。例えば、震災時に液状化によるライフラインが停止した新浦安の一部のマンションでは、水道・電気・ガスの供給がストップ。復旧までトイレに行くにも下まで降りる必要があった方もいたそうです。
一時実施された計画停電による電力の供給停止は、エレベーターの停止にも繋がりました。
こうした経験は、震災後の売行きにも現れ、中古タワーマンションの上層階取引価格などは、かつてのピーク時の人気から考えるとかなり下がったマンションも見受けます。
震災後に企画されたマンションは、この教訓を踏まえ地震対策として様々な取り組みが行われています。まず挙げられるのがエレベーターの電源の確保。昨年6月にスタートした、ワテラスタワーレジデンスは、当初より増強した連続72時間連続使用可能な非常用自家発電機を設置。エレベーターなど共用部の電源供給を可能としました。こうした動きは、大規模マンションから高層中規模マンションにも拡がりつつあり、非常用自家発電機の設置や蓄電池を使いエレベーターの稼働時間の一定の確保をするマンションも増えつつあります。
この2月にモデルルームの案内会がスタートした、クレヴィア巣鴨(伊藤忠都市開発)では、エレベーターの非常電源を確保。停電時でも約5時間稼動することが可能です。
防災備蓄倉庫を各階に設置
食料と水は各階に 医療品は特定の階に
地震発生後の数日間がいかに大切かが東日本大震災で多くの方が感じたはずです。震災後に企画されたマンションでは、食料や飲料水、トイレ、照明、ラジオなどを備蓄する、防災倉庫の設置や品物の拡充の動きがありました。クレヴィア巣鴨では、各階にも防災倉庫を設けることで、災害時に上層階の人でも食料・水と言った必需品を取りに行きやすくしています。
各階には、カンパン・アルファ米・圧縮ビスケットといった食料と飲用水、簡易トイレが設置されます。アルファ米とは炊いた後に乾燥させたもので、水分を加えるとご飯として食べられます。各フロア4世帯の3日分が用意されています。
10階、15階、19階には救急セットとハンマーや油圧ジャッキなどの入った救急工具セットが置かれます。その他、タンカなどカサの大きいものは1階に設置されます。
各自の自宅の備えは当然すべきだと思いますが、いつくるか分からないのが地震の怖さ。こうした防災備蓄倉庫が各階にあることは、地震への気持ち的な備えにもなるのではないでしょうか。
ガイドが訪れた時点で、案内会スタートから3週間。集客も堅調とのことで、その評価のポイントを聞いてみました。次ページで紹介します。