ストレス/身近な人のストレスケア

「GKB47」撤回問題で注目されたゲートキーパーとは?(2ページ目)

自殺対策強化月間のキャッチフレーズに決まっていた「GKB47」の撤回問題で注目された「ゲートキーパー」。これは身近な人を自殺から守るための大切な役割です。誰でもなれるゲートキーパーとはどんな役割なのか、解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

困難な問題こそ専門の相談窓口につなぐ 

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法律相談、医療機関、人権相談、その他にもたくさんの相談窓口は開かれている

次には、その人がどんな支援を必要としているのかを一緒に考えてみましょう。

お金の問題、仕事の問題で頭を抱えている人もいれば、暴力や暴言、いじめを受けて、深く傷ついている人もいます。悩みは非常に重いものだと思いますが、自殺に結びつきやすい問題には専門機関の相談窓口が設けられているため、1人で悩むより何らかの改善、解決の糸口を見つけられることが多いものです。

たとえば、借金や多重債務の問題なら全国に「法テラス」などの法律相談窓口、消費生活センターなどの相談窓口があります。配偶者、恋人からの暴力には、地域の配偶者暴力相談センター、婦人相談所、女性センター、男女共同参画センターなどの相談窓口があります。雇用上の問題や職場の人間関係の問題には、「働く人の悩みホットライン」(日本産業カウンセラー協会)や「総合労働相談コーナー」(都道府県労働局)などの電話相談があります。学校でのいじめ、不登校の問題には、少年相談窓口「ヤングテレホン」(都道府県警察)や「子どもの人権110番」(法務省)などの電話相談があります。

その他にも、たくさんの相談窓口があります。内閣府の自殺対策のホームページには、相談機関窓口情報が記載されてあり、悩み別に整理されていて参考になります。

悩みに適した相談機関を見つけてその情報を教えてあげたり、1人で連絡をとるのが難しいなら、相手に了解をとったうえで相談機関に連絡をして、予約をしてあげたりしましょう。1人でその場所に行きにくいなら、同行してあげてもいいでしょう。

自殺を考える人は平均4つの悩みを抱えている 

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悩みは1つだけじゃない。その人の気持ちにもっと寄り添ってみよう

相談機関につなげた後の役割も大切です。声をかけ見守っていきながら、相談に乗っていきましょう。自殺の背景には、平均して4つの要因があると言われています。その人の抱えている問題は、他にもいくつかあるのかもしれません。

たとえば、憂うつが襲い、よく眠れない場合には、うつ病の可能性も考えられるため、受診を勧めた方がいい場合もあります。今現在、生活費に困っているなら、福祉事務所の生活保護相談窓口で対応できるかもしれません。家族との心の亀裂がある場合、その人が望むなら間に立って話をつなぎ、話し合いができるように調整してあげることができるかもしれません。

「相談機関につなげたら私の役割は終わり」と思うのではなく、その後もその人の気持ちに寄り添っていくことが大切です。見守ってくれる人、話を聞いて受け止めてくれる人がそばにいれば、気持ちが落ち着き、「死にたい」という思いに向かっていくのを防ぐことができます。

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