不動産売買の法律・制度/不動産に欠かせない「道路」の知識

都市計画道路による建築制限とは?(2ページ目)

都市部ではかなり以前に道路の新設や拡幅が計画されながら、それが実施されていないケースも少なくありませんが、都市計画道路にかかる敷地では、住宅などの建築が一定のものに制限されます。その建築制限の内容とあわせ、都市計画道路がある土地や住宅を購入するときの注意ポイントなどをみていきましょう。(2017年改訂版、初出:2012年1月)

執筆者:平野 雅之


都市計画道路にかかる建売住宅などもある

計画決定の段階では、地階のない2階建て(緩和措置がある場合は3階建て)木造住宅などの建築は可能です。そのため、敷地の一部あるいは全部が都市計画道路の用地にかかる建売住宅が販売されている場合もあります。

また、中古住宅や売地でも同様に都市計画道路にかかっていることがあるでしょう。

このような土地は、たいていそれなりに安くなっているはずですが、計画の内容についてしっかりと確認することは欠かせません。

ただし、計画決定の段階では測量を伴わず、役所の担当課の机上で地図に線を引いただけのことも多く、道路の計画ラインなど詳細な位置は分からない場合も多いでしょう。具体的な位置は事業決定によって明らかにされます。

その事業決定が数年後なのか、数十年後なのか、あるいは将来的な見直しによって廃止される可能性もあるのかなど、なかなか予測は難しいのものです。

しかし、その計画道路の路線全体のなかですでに事業化されている区間があれば、購入対象部分を含む区間の事業決定も比較的早いだろうと判断できる場合があります。購入を検討する敷地の回りだけではなく、少し広い範囲で都市計画図を確認することも必要です。

なお、売買契約前に宅地建物取引士が行なう重要事項説明では、「計画決定」であることの事実(自治体により事業の優先順位が定められている場合はその内容)と、その概略の位置だけが説明されます。

仮に「当分は事業化されそうにないですよ」と説明があったとしても、それは勝手な推測に過ぎないことが多いと考えるべきです。

ただし、上記の緩和規定が適用される場合であれば、自治体のほうから「当分の間は事業化される見込みがない」としているわけですから、それが覆っていきなり事業化の話になることはないでしょう。

また、重要事項説明において「事業決定」であると説明されたときには、土地の買収など事業施行に向けた動きが始まっていますから、何らかの特別な事情や目的がないかぎりその土地を購入するべきではありません。


敷地の近くに都市計画道路があるとき

都市計画道路が敷地の近くにあれば、幹線道路の新設や拡幅によって、車両の交通量だけではなく周辺エリアの生活環境が大きく変わることもあります。

しかし、都市計画道路が売買対象の敷地にかかっているときには、その内容が宅地建物取引士から説明されるはずですが、その計画が敷地から少し離れた場所のときには必ずしも説明されるとはかぎりません。

生活環境などに大きな影響を与える可能性があるものについては重要事項として説明をするべきだとはいえ、どの程度の影響があれば説明をするのか、あるいは売買対象の敷地からどのくらいまでなら説明が必要なのかといった明確な基準はなく、宅地建物取引士または媒介をする不動産業者の裁量に任せられているのが実情でしょう。

敷地近くの都市計画道路によって大きな影響を受けることが「客観的に明らかでなければ説明されないこともある」ということを念頭におき、土地や住宅を購入するときには、事前に自分でその自治体の都市計画図を確認してみるなどの慎重さも必要です。


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