意外と作り手の個性が出ます!
目下紳士靴に付くヒールについて様々な考察をしている「メンズシューズ基礎徹底講座」。前回採り上げた「トップリフト(トップピース)」の形状については、種類こそ少ないものの、用途目的や起源で「この靴だからこの形!」と言う一種の方程式みたいなものが存在するのがお解りいただけたかと思います。前部に刳りの入らず直線的に処理が入っているものは、流石に馬とは言いませんがママチャリ程度の自転車をこぐ時とか、確かに足の位置が落ち着くんですよね。今回はその「トップリフト(トップピース)」に付く「釘」について考えてみましょう。一見全くどーって事のない小さな小さなパーツですが、これがどう打たれているかでどこのメーカーの製品であるかを識別できたり、彼らの靴作りに対する姿勢が垣間見えたりする、非常に面白いエリアです。例えばヨーロッパの誂え靴の世界では、これらが打たれた場所や本数で靴作り、特に底付けをした職人さんをほぼ特定できてしまうのだそうです。
釘の打ち方で非常に特徴的なのが、イギリス靴のエース的存在であるエドワード・グリーンのものです。大抵の製品では三個単位で規則正しく打たれているので、見る人が見たらこれだけで「あっ!」と分かってしまいます。
罪な意匠と言えば、こんなものもあります。詳しくは次のページへ!