とても大切なお尻の筋肉
お尻の筋肉をほぐすと、腰の重だるさも軽減された、という人がいるくらい、お尻の筋肉のコンディションは、腰の調子に影響があると考えられます。
お尻の筋肉にもいくつかの種類があり、体を動かしたり、様々な姿勢をとる際に、メインの筋肉と他の筋肉とが協調し合って働くことで、スムーズな日常動作を可能にしています。そのため、一つの筋肉の働きが低下すると、協調し合う他の筋肉にも悪い影響を与える可能性があり、動作をスムーズに行うことができなくなったりもするのです。
腰痛につながる中殿筋の機能低下
お尻の筋肉の中でも、中殿筋(ちゅうでんきん)という骨盤と股関節を結ぶ筋肉は、歩行する際に骨盤を安定させる重要な働きがあります。そのため、中殿筋が疲労するなどして、働きが低下すると、キレイな足の運びができずに、歩行時の身体のバランスが乱れることがあります。
また、日常動作や姿勢を維持する際のバランスも崩れるため、中殿筋の機能低下が続くと、姿勢を保持する筋肉にも影響を与えてしまい、腰の筋肉にも負担がかかる恐れがあります。腰が重だるいといった症状が出やすくなることがあるため、腰の不調を感じたら、「お尻の筋肉が疲れてこってきているかな?」とお尻の筋肉チェックをしてみてはいかがでしょうか。
中殿筋が疲れるのはどんな時?
■トレーニングによるもの
筋力トレーニングで、各お尻の筋肉に負荷をかけた場合は、その強度や回数、普段どの程度鍛えているかによって、疲労の度合いや回復の早さも違います。
例えば、右側の筋肉疲労が残り、左側は早々に回復したという場合は、右側の筋肉の働きが低下する可能性があることから、左右のバランスが乱れ、腰やひざなど、他の部位に負担をかけることになるかもしれません。
■脚をよく使った時
「久しぶりに長時間歩いた」「不安定な道を歩いた」「登山した」など、脚をよく使った後でも、お尻の筋肉の中で疲労の強い部分が出ていることも。それが、中殿筋の働きに影響を与える場合があります。
■姿勢のアンバランスからの影響
例えばお尻以外で、腰部の筋肉が張っているなど、血流が悪くなっている部位があると、筋肉や関節に「余計な負担のかからない状態」が損なわれ、二次的に中殿筋に負担がかかり疲労してしまう可能性があります。
中殿筋の疲労セルフチェック
セルフチェックを行う際の注意ですが、すでに腰や股関節などに痛みのある方は行わないでください。以下の写真のようなポーズをとった時に、ズキっと痛みが走ったなどの症状が出るようでしたら、中止してください。
下側の脚はヒザを軽く曲げて安定させてもかまいません
1. 安定する場所に横になりましょう。上半身は下にひじをついた姿勢で、起こしておいてもかまいません。
右側からチェックする場合は、右側が上になるように。
下肢を持ち上げるだけで、脚の重さがズシっと感じられる人も
2. まず、右下肢を天井方向へ挙げます。床と平行になる位置よりも少し上で保持してみましょう。
この時点で、お尻がきゅ~っと痛く感じる人は、中殿筋の働きの低下が進んでいるかもしれません。
軽々できた人は、その位置でとどめて、ゆっくり10数えてみましょう。途中でつらくなり、下ろしたくならなければ、疲労はそれほど進んでいないと考えられます。
さらに頑張れる人向きのチェック方法です
3. 「2」で全くつらくなかった人は、その位置からさらに上に下肢を持ち上げ、少し下げ、再度持ち上げ……の反復を10回行ってみましょう。
軽々できたという人は、中殿筋がしっかり働いてると考えられます。
この動きは筋力アップにもつながるため、日々、行っていると5回くらいでつらくなった人も、軽々できるようになるかもしれません。