商材としてのゲーム
お店にとってのゲーム、というのも、1つ考えておかなければいけない視点です。(イラスト 橋本モチチ)
コンシューマーゲームは商品の単価が高額で、かつソフトにもよりますが多くの場合は発売2週間程で販売数がガタッと落ち、なおかつ新品ソフトは利益率が極めて低いため、在庫リスクが非常に高い商品です。それでも商売になるのは、人気ソフトの集客力が凄まじいことと、価格コントロールが容易な中古売買で利益を上げているからでしょう。
新品を撒いてから、価格コントロールが容易な中古売買で利益を確保するという構造はトレーディングカードゲームに近いものですが、コンシューマーゲームの場合は、利益が低く息の短い高額な新品ソフトを、在庫を残さないように一気に売りさばき、その後に新品よりも価格が下がる中古の売買をするという点が大きく違います。しかもその中古ですら、直接の利益にならないメーカーからは好まれず、中古に売りにくい商品を作るよう工夫が施される傾向にあります。
コンシューマーゲームはこれだけ多くの人をひきつけ、玩具という分野で考えるなら抜きん出た市場規模を誇り、子供から大人まで楽しめるエンターテイメントに成長しているにもかかわらず、商材としての脆弱さには不安が残ります。トレーディングカードゲームが再び盛り上がり、あっという間にゲームショップの中で大きな存在感を示していることに対し、ガイドはトレーディングカードゲーム自体の勢いよりも、むしろコンシューマーゲームの不安定な立ち位置を強く認識させられます。
魅力的な商材になるよう流通改革を行なうのか、作品の力で圧倒的求心力を維持、拡大し続けるのか、それとも店舗を介さないオンラインに活路を見出すか。いずれにしろ、コンシューマーゲームという商材がどうやって世に出ていくのか、見つめ直す必要があるように思います。
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