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ゲーム屋さんにデュエルスペースが増える意味(2ページ目)

ここ数年、トレーディングカードゲームが非常に盛り上がってきています。それに伴い、ゲームショップでもかなり拡販に力を入れているところが増えてきているようです。場合によっては、テレビゲームの棚を押しのけてまで、デュエルスペースを確保する店舗も。トレーディングカードゲームの現状と、ゲーム屋さんの変化、そしてそこから浮かび上がるテレビゲームの問題点についてお話します。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

デュエルスペースを置くことの意味

デュエルスペースの図

わざわざスペースをさいて対戦場所を用意するというのは、実はお店にとっては相当なことです。

トレーディングカードゲームという商材は、簡単に手を出せる商材ではありません。理由は大きく2つあります。1つは必ずデュエルスペース、つまり対戦場所を用意しなければいけないということ。もちろんデュエルスペースが無いと売ってはいけないという決まりがあるわけではありませんが、トレーディングカードゲームを売るには、対戦する場所を提供し、そこにユーザーが集まり、コミュニティが形成され、そして購入に繋がるというのがセオリーになっています。

もう1つは、商品に対する高い知識が必要であるということ。トレーディングカードゲームの大きな収益ポイントは、シングルカードと呼ばれる1枚売り、あるいはそれに準ずる形で欲しいカードを選べるように販売する方式です。通常は、数枚がセットになって中に何がはいっているか分からないパック商品や、数十枚をセットにしたボックスなどがメーカーから発売されていますが、店舗ではユーザーが欲しい1枚1枚に独自の価格をつけて販売する方法で利益をあげます。カードは対戦の有利不利や、希少価値の高さなどによって価値が変動するため、カードゲームの内容とユーザーの動向に対する的確な情報収集と、こまめな価格メンテナンスを必要とします。

つまり、店舗の中にわざわざ大きなスペースをとって、膨大な情報収集をし、丁寧なメンテナンスを行なって、それでやっと商売になるという、大変面倒な商材であるということです。特に、コンシューマーゲームと比較した場合にデュエルスペースを置いているというところはポイントで、日本の狭いゲーム屋さん事情からすると、新作ゲームタイトルの販促コーナーを作るのにも、棚効率を考えろなんていう指示が飛ぶぐらいですから、ユーザーに遊ばせる場所をドーンと提供するというのは大変に太っ腹で贅沢な話です。

カードゲームは利益が高い

モンハンをプレイする図

コンシューマーゲームでは、いくらモンスターハンターシリーズが売れても、お店の中にマルチプレイをする場所を用意するようなところは、ほとんどなかったはずです。ファミリーレストランやファーストフードなどでプレイする姿がよく見られました。

勢いがついているとはいえ、ゲームの市場規模に比べればまだまだであるカードゲームに何故ゲームショップがそこまで力を入れるのでしょう。場合によっては、専門分野であるはずのコンシューマーゲームを押しのけてまで、デュエルスペースを確保し、カードゲームの拡販を狙うお店すらあります。

それは、身も蓋もない言い方をすれば儲かるからです。例えば遊戯王ゼアル OCG GOLD SERIES 2012というシリーズは1パック7枚入で希望小売価格300円で発売されています。単純計算で1枚40円強。これが、シングルカードになると、1枚で数百円、あるいは数千円にもなります。

低価格の新品商品を撒いて、中古で高額商品として売買するというのがトレーディングカードゲームを販売するビジネスの主な構造です。店舗によっては、そもそも店舗内で商品をばらし、最初からシングルカードとして販売するような手法を取る所もあるようです。そういった形でトレーディングカードゲームは高い利益をもたらし、成長に従ってグングンとお店での地位を向上させていっています。

このことは逆に言えば、コンシューマーゲームという商材が儲かっていない、という言い方をすることもできます。
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