僕はいつでも君のそばにいるよ
第6位 『わすれられないおくりもの』
絵本の扉を開くと、年老いたアナグマが切り株に腰掛けています。アナグマは誰からも好かれ、また信頼されてもいましたが、高齢で死期が近いことを自覚していました。お話の冒頭から「死」を意識させる展開ですが、いたずらに悲しみをあおったり、声高に命の大切さを訴えるような作品ではありません。
穏やかな死を迎えるアナグマと、その死を悼む仲間たちの様子が、静かに描かれていきます。森の仲間たちは、やがてアナグマが遺してくれたものの豊かさに気付き、感謝し、そして、アナグマがいつでもすぐ近くにいるような気持ちになるのです。
誰にも必ず訪れる「死」というものを静かに見つめながら、その人が遺した想いや知恵を繋ぐことで、いつでも大切な人とのつながりを感じることができるのだということに気付かせてくれる絵本です。
ことさら「死をとりあげた絵本だ」などと構えずに、温かな優しい気持ちになれる絵本として読んでみてはいかがでしょう。たとえ幼い子どもたちであっても、伝えたい大切な事柄がすーっと心に染みわたっていくように思えます。
スーザン・バーレイ:作 小川仁央:訳
価格:1260円
出版社:評論社
推奨年齢: 5・6歳くらいから
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