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「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」で車を守る

自動車保険に「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約(地震・噴火・津波車両全損時定額払特約)」が2012年1月から大手損保を中心に新設され車両保険部分に付帯することができるようになりました。地震・噴火・津波車両全損時一時金特約のポイントを含めて、地震災害における自動車保険における備えについてお話します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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地震・噴火・津波車両全損時一時金特約とは?

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約とは?

自動車保険の地震・噴火・津波車両全損時一時金特約(保険会社によって地震・噴火・津波車両全損時定額払特約などとも言う)が2012年1月から損保各社で発売が始まっています。

これは2011年3月11日の東日本大震災を受けて津波による車両損害で被害が大きかったことにより、新たに作られた特約です。

自動車保険における通常の車両保険では、地震や噴火、津波による車の損害については保険金は支払われません。そのため自動車を地震災害等から守るためには、こうした特約の付帯が必要になります。

また車両保険には従来から「地震・噴火・津波危険車両損害補償特約」という今回新設された特約とは別に地震災害に備える特約があります。しかしこの特約はもともと契約の引受けは各社ごとに異なり、現在既に特約を付帯して契約がある場合を除くと新規での契約を見合わせているケースがほとんどです。

そのため今後地震災害に備えるためには今回新設された「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」の付帯が現実的な選択です。具体的な補償内容や考え方、使い方について解説します。

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約の特徴

新設された地震・噴火・津波車両全損時一時金特約ですが、主な特徴は次の通りです。
  • 契約金額は50万円が上限
  • 契約金額50万円の場合、年間保険料5,000円
  • 保険金が支払われるのは地震により所定の損害が生じた場合
契約できる金額は50万円が上限となります。これは車の金額が50万円以上である場合でも同様です。300万円の車でも100万円の車でも70万円の車でも契約できる金額は50万円です。但し50万円未満の車の場合にはその金額(例えば30万円など)になります。

年間保険料は5,000円で運転者の年齢条件や車の用途車種、ノンフリート等級などに関係なく一律です。但し契約金額が50万円未満の場合、その額に応じて保険料は下がっていきます。

保険金が支払われるのは所定の損害があった場合となります。細かい規定が色々あるのでここでは割愛しますが、特約名に「全損時」とあるようにある程度大きな損害を想定しています。そのため例えば地震で建物から落ちてきたガラスで新車のボンネットに小キズがついたという程度のものでは保険金は支払いの対象外となります。

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約の注意点

この地震・噴火・津波車両全損時一時金特約には契約の引受けに制限がありません。この点が従来からある地震・噴火・津波危険車両損害補償特約との大きな違いの一つです。

その理由が今お話したように契約できる金額や保険金の支払い等にかなり制限を設けているためです。少なくともこうした制限があることを理解した上で加入しないと地震などで被害にあった際にいらぬストレスを溜めることになります。この特約をつけておけば地震や噴火、津波のときでも絶対安心と考えるのは早計です。

また自動車保険の車両保険には通常いくつか種類があります。この特約を付帯できるのは「一般条件」の車両保険です。いわゆるオールリスクの一番補償の範囲が広い車両保険です。すべての車両保険にこの特約が付帯できるわけではありません。

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約を利用するかの考え方

自動車保険での地震災害に対するプランを考える際に地震・噴火・津波車両全損時一時金特約はどう考えたらいいのでしょうか。50万円超の金額の車であればこの特約を付帯していても損害額全額をカバーすることはできません。

車の購入時にカーローンなどを利用して借り入れがある、被災後に車がないと生活できない地域に住んでいる(あるいは仕事で車が絶対に必要)、預貯金などの保有資産の有無などを含めて総合的に判断してください。

他にも海や川に近く津波の危険性が高い、普段駐車しているところがタワーパーキングなどで建物ごと車が潰れる可能性もあるなど普段車が置かれている環境も確認しておきたいポイントです。

自宅を含めた資産を失うほどの被害を受けたときに受取る可能性のある50万円、そしてその対価として支払う年間5,000円の保険料をどう考えるかというところが判断基準になるでしょう。この特約だけの特徴だけに目を奪われることなく、自宅に地震保険を付帯するかどうかなどの自分が置かれている状況全体を見渡すことが必要です。

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