徒歩20分圏内の住環境があなたの暮らしを左右する
ひとくちに住環境といいますが、私の実感値からすると、自宅を起点にして徒歩20分圏が日々の暮らしに大きく影響する範囲だと思われます。主にどのように影響するかを、徒歩圏を3分類して見ていきましょう。1、徒歩1~3分以内の住環境は、家の中の住み心地に影響します
前述のように、徒歩3分以内の環境は住まいそのものにダイレクトに影響を及ぼします。周囲に高層の建物が建て込んでいれば、より日照・通風、隣家からの視線に配慮した間取りや開口部の工夫、外の音を極力遮音するような窓ガラスの採用などが求められます。また、周辺が低層の住宅がゆとりのある敷地に建てられているようであれば、開口部を大きくとったり、バルコニーを広くとって、屋外とのつながりを強調し、解放感のある空間づくりを工夫します。このように、周囲の環境の良いところを強調し、悪いところを抑え込む住まいでなければ、自宅でゆっくりくつろぐことはできません。ひどい場合はこんなところには住めない!となってしまうのです。
2、徒歩5~10分以内の住環境は日常生活の機能に影響します
通勤・通学のために利用する最寄駅があるか。スーパー・コンビニでの買い物、銀行や郵便局での手続き、かかりつけの病院への通院、ちょっとした飲食店での外食等が、できる施設が整っているか。朝・昼は、気分良く歩けるきれいな街並みになっているか。犬の散歩ができる公園があるか。夜道は街灯が明るく、女性の独り歩きでも安心か。こういった項目に○がつけば、基本的な日常生活に不満は生じにくいのですが、×が多いと特に家事のウエイトが高い妻にストレスがたまっていきます。私の独身時代に住んだ埼玉郊外のニュータウンでの失敗は、この圏内の住環境がミスマッチだったというわけです。
3、徒歩10~20分以内の住環境はレジャーや趣味など暮らしの豊かさに影響します
豊かさは、言い換えると選択肢の広さでもあります。自由な時間のある休日の楽しさは選択肢の広さによるところ大といえるでしょう。たとえば、雨の日は映画、晴れの日は大公園でピクニックが楽しめる。昼は図書館に通い、夜はコンサートへ。安くて旨い中華料理店から雑誌で紹介された小粋なイタリアンレストランまで気分と懐具合で選べるお店がある。雑貨好きが集まるお店やリサイクルショップ、疲れた体をリフレッシュするジム等々。身近なところで、暮らしに変化やアクセントをもたらしてくれる機能が揃っていると、暮らしを重層的に楽しむことができます。私の経験でいえば、本所吾妻橋、勝どきなどへ引っ越したときの暮らしの変化に当たります。
住環境が住まいや暮らしにどのように影響するのかを、ご説明しましたが、より自分にあった住環境をイメージするには、具体的な街を思い浮かべると分かりやすいと考えます。たとえば、住みたい街ランキングでいつもトップクラスに入る吉祥寺や田園調布などです。自分が住みたい街の魅力を分解することで、自分に合ったもしくは好みの住環境がどんなものなのかが分かるという仕掛けです。
次回は街をその特徴によりいくつかのタイプに分類し、自分がどの街のタイプに合っているかを見つけることで、自分にあった住環境のイメージを明らかにしていきます。
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