不動産売買の法律・制度/不動産に欠かせない「道路」の知識

位置指定道路と開発道路(2ページ目)

複数の区画が販売される建売住宅や土地分譲では、新しく「位置指定道路」や「開発道路」が造られることも多くなっています。これはすべての敷地が接道義務を満たすように建築基準法による一定の手続きを経たものですが、位置指定道路などがそれぞれどのような要件にもとづいて造られるのか、しっかりと理解しておきましょう。(2017年改訂版、初出:2011年12月)

執筆者:平野 雅之


開発道路とは?

一定規模以上のまとまった土地(自治体により基準が異なる)で宅地造成、区画分譲などをするときには、都市計画法による開発許可が必要です。この許可に基づく開発行為で、公共施設の一つとして造られるものが、いわゆる「開発道路」です。

ただし、「開発道路」は法律で定義された用語ではなく、北海道における国の道路整備で国土交通大臣が指定したものを「開発道路」と呼んだり、「都市開発道路」や「産業開発道路」のように自治体が整備する道路を指す場合もあるようです。

ここでは都市計画法による開発許可を受けて造られる道路について説明を進めましょう。

開発道路は整然とした通り抜け道路になることが一般的

開発道路は整然とした通り抜け道路になることが一般的

開発道路のイメージとして、前ページで説明した位置指定道路の規模を大きくしたものと考えれば分かりやすいかもしれません。

しかし、位置指定道路が原則として私道であるのに対し、開発道路はその工事完了後に市町村へ移管されて公道になることが一般的だという点が大きく異なります。

また、開発道路は車両の通り抜けを原則とし、その幅員も6m以上であることが求められます。ただし、小区間で通行上の支障がないところについては4mの幅員も認められます。

なお、開発区域の大きさや区画の条件などによっては、開発許可の手続きをしたうえで位置指定道路に準じて造られ、私道のままとなる場合もあります。


道路の種別上の扱いは?

建築基準法による道路の種別として、開発道路は「法42条1項2号」に該当しますが、市町村に移管し公道として認定された場合には「法42条1項1号」(道路法による道路)にも該当することになります。


私道扱いの開発道路のとき

完成後に公道となることが一般的な開発道路ですが、それは法律上の義務ではなく、事前の協議にもとづいて別段の定めをしたときには、別の管理者(道路の所有者など)をおくこともできるようになっています。

実際に、かなり広い開発分譲地において、一帯の道路がすべて開発業者の名義のままになっている例も見受けられます。

また、市町村に管理が移管したものの、(開発許可の基準は満たしていても)市町村道としての認定基準に合わず、公道とならない場合もあるでしょう。

開発道路が私道のままになっているとき、その理由や経緯が常に明らかになるとはかぎりませんが、道路部分に抵当権や差押の登記がされているために移管ができないケース、あるいは移管前に開発業者が倒産してしまったようなケースなどもあるので注意が必要です。

何らかの不安要素があるときには、開発区域一帯の道路の状態を見て、その維持管理などに問題が生じていないか、しっかりと確認をすることも欠かせません。


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