M's BAKERY,OPEN
2011年12月21日、品川区役所の真向かいに、小さなベーカリーがオープンします。M's BAKERY、上松まゆみさん
パンを焼いているのは上松まゆみさん。旅行代理店に勤務しながら専門学校の社会人向けのクラスに通った後、退職してオーバカナル(赤坂)、アトリエ・ド・リーブ(白金)、京王プラザホテルなど、さまざまなスタイルの店を経て独立、M's BAKERYを開きました。
取材はオープン直前のテストベーキング時に行ったのですが、新しい環境にも関わらず落ち着いて作業をしながら元気に話す上松さん。「不況に加えて材料不足の昨今、独立開業するなんてチャレンジャーだよ、とか、ほんとうにやっちゃったんだねぇなんて、先輩仲間に言われるけれど、頑張りますよ!」と終始笑顔のインタビューとなりました。
ルヴァンリキッドを使った長時間発酵のバゲット(280円)
M's BAKERYのハード系のパン
「バゲットは皮の薄いもの、カンパーニュはどっしりと重いものが好きです。ルヴァンリキッドやライサワー種を使ったハード系のパンが好きなんです。ドイツパンはぜひ作っていきたいですね」と上松さんは言います。修業時はさまざまな店を巡って研究したそうですが、あるパーティで体験したドイツパンとチーズの取り合わせのおいしさが忘れられず、こういうパンが焼きたい!と思ったそうです。
左からセーグルオニオン(250円)、コンプレ(200円)、ノアカレンツ(800円)
「ライサワー種を使っている店はそんなに多くないと思いますが、パンの味に深みが出て、日持ちもするんです。日を追うと熟成され2、3日目からおいしいのがいいんですよ。種の固さ、酸度、水分量の調整など毎日ライ麦と水で種継ぎしていく手間はかかるのですが、それも楽しいんです」
この日、並んでいたキャラウェイとドライオニオン入りの、しっとりと目の詰まったライ麦パン「セーグルオニオン」、クルミとカレンツがぎっしりつまった「ノアカレンツ」など、サワー種のどっしり系のライ麦パンは、そのまま単品で食べても味わい深くおいしかったので、ドライフルーツやナッツ、種子や雑穀の配合によるバリエーションの展開が楽しみです。
ドライフィグが50%入った全粒粉の「フィグ」(300円)
バゲット、フィグ、ノアカレンツの断面
バゲットは小麦から起したルヴァンリキッドにイースト微量を併用。高加水で13~15時間発酵をとって、ドイツ製の窯で短時間でクラストを薄くパリっと焼き上げています。