国際結婚/国際結婚アーカイブ

ハーグ条約から学ぶ国際結婚の心構え(6ページ目)

日本もハーグ条約に加盟するという動きが話題になっています。それは法的にはどのようなことなのか? 国際結婚カップルが当然知っておくべきこととは何か? この問題に詳しい弁護士の松野絵里子先生にお話をうかがいました。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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国際結婚はハイリスク

シャウウェッカー:
ハーグ条約のことも踏まえて、国際結婚する時の心構えとは、どのようなことだと思われますか?

松野先生:
もともと結婚というリスクのあるものの中で、国際結婚だとリスクが何倍にも大きくなります。
日本でも離婚は大変です。相手が同意しなくて、裁判をしようと思ったら、費用もすごくかかるし時間もかかる……。それが外国でとなったら、弁護士も現地で雇わなければならないし、お金がもっとかかって、さらに大変なことになります。
外国人と結婚する時には、そこまで覚悟してないといけないのですね。そのくらい国際結婚はリスクが高い。

現地の文化や言葉を学ぶ覚悟もなく、外国で知り合った人と意気投合して、盛り上がって結婚して、でも男性が全然働かなくて仕事もないし、1年くらいで嫌になって、逃げて帰ってきてしまったという人が、実はけっこういるんですね。自分も言葉がそんなにしゃべれなくて、手に職もない。まあ、いわばその国の社会に根付く覚悟がないままに、国際結婚してしまったわけです。

それで日本に逃げてきて、「今から日本で離婚したい」と聞かれるのですが、遺棄されたと言えないなら「その国でやってこなければだめですよ」と言っています。国際裁判管轄が日本に認められないからです。

基本的なことですが、国際結婚する時は、やはり相手の国の言語を話すとか、住んでいる場所の言語を少なくとも習得する覚悟がないと……。しかも子供がいたら、親としてそこに根付くということの責任があります。そこまで考えた上で決めてほしいですね。とにかく、軽い気持ちで国際結婚してはいけない。本当に危ないです。

それと、やはり経済力の問題があります。日本の結婚でも同じです。経済力がない女性にとって、結婚はどれほどリスクが大きいか……。
国際結婚ですと、母国を離れた女性が経済力を失う可能性がより高いですよね。日本だったらパートでちょっと働けるのに、言葉ができないとなかなかそうもいきません。そのリスクも考えておいたほうがいいと思います。

シャウウェッカー:
リスクを充分に理解した上で、それにきちんと向き合う心構えが必要だということですね。
先生、今日はどうもありがとうございました。

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