国際結婚/国際結婚アーカイブ

ハーグ条約から学ぶ国際結婚の心構え(5ページ目)

日本もハーグ条約に加盟するという動きが話題になっています。それは法的にはどのようなことなのか? 国際結婚カップルが当然知っておくべきこととは何か? この問題に詳しい弁護士の松野絵里子先生にお話をうかがいました。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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住んでいる国で解決してから移動

松野先生:
たとえば、アメリカ人と結婚して、アメリカに住むと2人で決めて、アメリカの永住権をもらえて、アメリカで子供の教育も始めていたのに、離婚ということになり、日本法とアメリカ法のどちらでこの家族の問題を解決するべきでしょうと一般の人に聞いたら、アメリカで司法手続きをして準拠法はアメリカのその州法になるというのが正しいということは、誰でも思うことではないでしょうか?

日本人配偶者が日本に移動したことで日本の司法で手続きができて日本法が適用されてしまうというのは、乱暴なことですよね。

「家族法の問題、離婚の問題、親権の問題は、家族が住んでいた場所の司法手続きでまずは解決しましょう。離婚したくなったら、住んでいる国で離婚の問題を解決しましょう」というのが、大前提のルールなのです。

シャウウェッカー:
なるほど。国を超えて何かをするって大変ですね。国際結婚する時も、手続きがとても煩雑ですし……。

松野先生:
国際結婚って、いろんな場面で大変なのだと思います。だからハーグ条約だけが取り立てて大変なわけではないのですが、アメリカの例のように、ショッキングが事件が報道される傾向にあり、その印象ばかりが強くなってしまっている感じがあります。

いろいろな事情があると思いますが、DVに関しては、その国にDV保護法があるはずなので、まずそこで守ってもらうというのが一つ方法としてあると思います。シェルターに行くとか弁護士に相談するなどして、自分の権利を確認することも必要ですね。
ただ、言語の問題もあってなかなかその国で保護が受けられない弱者もいるので、それをどうするかは大きな問題です。証拠の保全もなかなかできないですしね。

シャウウェッカー:
私が以前住んでいたカナダでは、精神的な虐待も問題になっていました。まだ言葉ができないために、夫に頼らざるを得ないから、コントロールされやすいんです。お金も渡されず、キミはだめだと言われ続け、いとも簡単に支配下に置かれてしまう。外部との接触も制限されるので、孤立して発見されにくい例もあります。

松野先生:
女性が結婚して海外に住むということは、もともと体力や経済力で男女差がある状態で相手の国に行くということなので、ものすごくDVの温床になりやすいんですね。もともと弱者なのが、それに拍車がかかってしまう。特に経済力というパワーを失った形で海外で生活するのは本当に大変なので、そういった点はよく考えたほうがいいですね。

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