とてもラッキーなことに、私たちの結婚に親の反対はありませんでした。国際結婚であり逆年齢差ということを考えると、双方の親から絶対に反対されるだろうと相当な覚悟を決めていた私には、拍子抜けするような展開でした。

でも正確に言うと、まったく反対されなかったわけではないのです。少なくとも賛成はしていない人が1名いました。私たちの結婚式の2年前に他界していた私の父。生前に、彼のことは父に紹介はできました。日本語の勉強に来ていた彼が、1カ月の通学期間を終えたので、そのあと10日間ほどをうちで過ごしたのです。

外国人の彼を両親に紹介するまで

話は少しさかのぼりますが、まだそれぞれの家族に話す前、私は絶対に反対されると思っていましたから、あらゆることを想定し、自分なりの作戦をあれこれ考えていました。彼のほうは「うちの両親は絶対に大丈夫」などと楽観的なことを言っていたのでスイスのほうは彼にまかせて、私は自分の親対策をひたすら考えていました。

まずは姉妹を味方につけることにしました。特に両親と同居している妹には、いろいろ相談をもちかけたり、両親の様子をおしえてもらったりしていました。そして、両親に話すタイミング、紹介するまでの段取り、どうしたら心配をかけずに現在の状況を伝えられるかなど、本当にあれこれ思索していましたっけ。

とりわけ、ハッキリ反対を表明されたあとの作戦は、綿密に考えていました。絶対に実行しようと思っていたのがハガキ作戦。定期的にハガキを送り続け(ハガキだったら絶対に読まれるから)、今日はふたりで何をしたとか、毎日楽しく過ごしているとか、仕事もしっかりやっているとか、そういった日常をつづっていって、両親に「ああ、娘は幸せにやっているんだな」と感じてもらいたいと思っていたのです。

何があっても、どんなに両親との間が険悪になろうと、私はいつも明るく、一方通行でもいいから、私からはずっと発信し続けようと思っていました。

日本に来た彼を勢いで紹介!

彼を実家に連れていって家族に紹介するに至るまでにも、私はかなり悩んでいました。両親には事前に手紙で知らせておきましたが、それでも最初が肝心ですから、親がまだ心の準備ができていない時にいきなり連れていって、心証を悪くしたらおしまいです。悪印象を好転させるためには、相当な努力と時間が必要になります。かといって、せっかく彼が日本に来ているこの時を逃したら、今度いつ紹介できるか分かりません。そんなことを、彼が日本語学校に通っている間もずっとウダウダ考えていました。

結局、考えることに疲れてしまって、「ええい、もう何を言われてもいいや~」という感じで、安いホテルでも探してあげるつもりだったところを、急遽、家に来てもらうことにしてしまったのです。多少やけ気味ではありましたが、急にそうする気になって、「明日、連れてくるからね~。泊めてあげてね~」と。

今思うと、何か目にみえない大きな力が働いたのでしょうかねえ……。そのように急に思い立たなければ、おそらく父に彼を紹介することはできなかったのですから。

あまり歓迎ムードではないだろうなと思い、露骨に不快な表情でもされたらどうしようと心配していたのですが、両親はそんなことはオクビにも出さず、普通に彼を迎えてくれました。それどころか、最初の日の夕食では、父がわざわざ「ステファンさん、ようこそ!」と言って乾杯の音頭までとったのにはビックリ。娘の私には、そのような顔はまったく見せないのに。「商人だから外ヅラはいいのかしら?」と思いつつ、でも、緊張していた彼をそのように歓待してくれたことには、とても感謝しました。