国際結婚/国際結婚アーカイブ

ハーグ条約から学ぶ国際結婚の心構え(4ページ目)

日本もハーグ条約に加盟するという動きが話題になっています。それは法的にはどのようなことなのか? 国際結婚カップルが当然知っておくべきこととは何か? この問題に詳しい弁護士の松野絵里子先生にお話をうかがいました。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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家族が住んでいた国の法律で話し合う 

ハーグ条約

弁護士の松野絵里子先生

シャウウェッカー:
ハーグ条約がつくられたそもそもの意味は、どのようなことなのでしょうか?

松野先生:
ハーグ条約の基本の考え方は、「家族が住んでいた国の法制度で、この問題を話し合いましょう」ということなんです。

子供をもとに戻すというルールは、もともと夫婦が関係を築いた場所で、離婚の問題を解決しましょうという考えからきています。自分の都合のいい場所に移動してから、すでにある法的紛争を解決しようとすることは、原則としてできないので、それが離婚の問題になるとこういうことになるわけです。

たとえば、離婚にすごくラクな国があるとして、3日でできて、養育費も払わなくていい、何もしなくてもいい、すぐに独身貴族に戻れるという国があって、日本人の離婚したいと思っている男性がそこの国に行って離婚訴訟を提起してきたら、妻はたまりませんよね。

ですから、子供がいようがいまいが、離婚する時の解決方法の大きなルールとしては、もと家族が住んでいた国の家族法に従って離婚するというのは正しいのだろうという気がします。

シャウウェッカー:
現在、ハーグ条約について報道される時に、必ずと言っていいほど、アメリカから帰国した母親の例が出てきますね。中には夫のDVから逃げてきた人もいますし、誘拐罪で訴えられている人もいます。

松野先生:
アメリカの例はたしかにショッキングですよね。夫のクレームで、アメリカでは犯罪者にされるわけですから。

ただ、日本では犯罪にならないことが、アメリカやほかの国で犯罪になることは、普通にあることですよね。交通ルールも国によって違います。ドラッグだってそうですよね。国によっては合法としているものもあります。一夫多妻もそう。日本では認めていませんね。
このように、国によって法律が違うのは当たり前なのです。

日本では、お母さんが離婚調停中に父親の許可なく子供を連れて東京から北海道の実家に行ってしまっても、それがただちに違法とはされていないんですね。でも、それがアメリカだったら、たとえ母親でも誘拐罪になるのでしょう。

クロスボーダーに生きていく場合、大きなルールとして、住んでいる国や州の法律に従うというのは当然あると思います。
国際離婚の場合は、家族を形成している国の法律に従わないといけないというのは、ルールとしては基本的なもののように思います。

シャウウェッカー:
それが国際離婚の準拠法の問題なのですね。その点を、まず理解していなければいけませんね。

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