国際結婚/国際結婚アーカイブ

ハーグ条約から学ぶ国際結婚の心構え(3ページ目)

日本もハーグ条約に加盟するという動きが話題になっています。それは法的にはどのようなことなのか? 国際結婚カップルが当然知っておくべきこととは何か? この問題に詳しい弁護士の松野絵里子先生にお話をうかがいました。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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協議離婚か、裁判離婚か

ハーグ条約

離婚手続きも国際結婚だと複雑に……

準拠法が決まったら、それに従って離婚ができるかなど考えるわけですが、日本で離婚する場合には、協議離婚が最も簡単な方法になります。
それ以外に、調停離婚、裁判離婚があります。

準拠法が日本法である場合、日本では協議離婚を認めていますから、夫婦の同意があれば離婚は成立します。同意が得られず協議離婚が整わなかった場合は、次の段階として、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行います(調停離婚)。
夫婦の合意がなく調停離婚が成立しなかった場合に、はじめて裁判を通しての離婚となります(裁判離婚)。

ここで複雑なのは、日本でも結婚していて海外の法律のもとでも結婚している場合に、その海外の離婚制度では、裁判所の関与しない協議離婚を認めていない国や州もあります。そのため、海外でも日本での協議離婚の成立で地の手続きがとれるのか、確認する必要があります。
よくなされるのは、協議離婚ではなくて調停離婚をして、調停条項にそれが確定判決と同様の効力をもつという記載を入れる方法です。これで、かなりの国でスムーズに離婚手続きが進められます。

国際裁判管轄と準拠法とは別

間違えやすいのですが、国際裁判管轄と準拠法とは、別の問題です。

順序としては、まず日本の司法手続きが使えるかを考えます。これが国際裁判管轄です。日本人が一方のカップルでは、これが大きな問題になります。海外から逃げてきてしまう人が多いからです。

それができる時に、では何法が適用されるか考えるというのが分かりやすいでしょう。日本で離婚調停はできるが準拠法が日本法以外ということもありますが、一方が日本人のカップルならそれはありません。たとえば、日本に住んでいるブラジル人夫婦が離婚する場合、日本の調停・訴訟でブラジル法の離婚法を弁護士が立証してすすめていることになり、弁護士は大変です。

以上が国際裁判管轄と国際離婚の準拠法についての説明ですが、ご理解いただけましたでしょうか?
このように国際間の問題には複雑なルールがあることを、まず念頭に置いていただきたいと思います。

次ページからは、松野先生との対談です。

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