世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ブリュッセルのグランプラス/ベルギー(3ページ目)

ブリュッセル旧市街に広がるグランプラスは、「世界でいちばん豪華な広場」「絢爛たる劇場」「小さなパリ」等の称賛を受ける美しい広場であると同時に、中世の商人や手工業者たちがその自治と伝統を守り抜いた誇り高い街でもある。今回はベルギーの世界遺産「ブリュッセルのグランプラス」を紹介する。

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産 ガイド

得意ジャンルは世界遺産・世界史・海外情勢・海外旅行・哲学・芸術等。世界遺産マイスター、世界遺産検定1級文部科学大臣賞受賞。出版社で編集者として勤務したのち世界一周の旅に出る。現在は東南アジアを拠点に海外旅行を継続しながらフリーの編集者・ライターとして活動。訪問国数は約100、世界遺産は約250に及ぶ。

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グランプラスとギルドハウスの見所

ブラバント公の家

6つのギルドが集まってできた「ブラバント公の家」。現在はホテルやレストランが入っている ©牧哲雄

グランプラスは11棟の建物によって取り囲まれている。ギルドハウスには「星」「白鳥」「狐」「袋」など、それぞれのギルドを象徴するものの名前がつけられている。代表的なものを紹介しよう。

■市庁舎
1421年に完成したゴシック建築の傑作。1455年に増築された鐘楼は、当時ヨーロッパでも随一の高さを誇っていた。フランス軍の砲撃にも耐え抜き、17世紀以前の姿をとどめるほとんど唯一の建築物でもある。実はこの鐘楼、「ベルギーとフランスの鐘楼群」にも数えられていたが、グランプラスの世界遺産登録によって外された。ガイドツアーで中を見学できる。

■スペイン王の家
「スペイン王の家」の天頂ドーム

「スペイン王の家」の天頂ドーム

緑の天頂と、周囲を取り囲む彫刻群が美しいこの建物も、もともとはパン職人のギルドハウスだった。ファサード(正面)の彫刻はパン職人の守護神・オベール司教だ。スペイン王カルロス2世の彫刻からこの名がついた。

■王の家
パン職人のギルドが建てたもので、「パンの家」と呼ばれていた。その後ブラバント公国の役所が置かれて「公の家」になり、ハプスブルク帝国のスペイン王の領地となったことから「王の家」といわれるようになった。19世紀後半にはネオ・ゴシックに改築され、現在に至る。一部は市立博物館として一般に公開されている。

 

■黄金の木
ビール醸造所のギルドが造ったギルドハウスで、一部はビール博物館として公開されている。ビール醸造の方法や、ビールギルドの歴史などを展示しており、バーでビールを飲むことができる。

■白鳥の家、鳩の家、星の家
英雄セルクラースの像

英雄セルクラースの像。右手に触れると幸福が訪れるという言い伝えがある

「白鳥の家」は肉屋のギルドハウスでマルクスとエンゲルスが通った場所。ヴィクトル・ユゴーが滞在していたのは「鳩の家」だ。最古のギルドハウスが「星の家」で、14世紀にブラバントを守った英雄セルクラースの像が置かれている。

■ブラバント公の家
砲撃のあと、大工や彫刻家が集まって建てたギルドハウスがこちら。建物の柱には歴代のブラバント公の銅像がズラリと並んでいる。

 
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