社会保険/社会保険の基礎知識

出産から復職までの社会保険実務の勘所(2ページ目)

少子化の社会経済情勢の中、企業の労務管理上欠かせない知識が子育て支援の仕組みです。企業が適用を受けている社会保険。現在では子育て支援のため多くの給付制度、免除制度が用意されています。知識の確認をし、実践できるものをフル活用していきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

育児休暇中にも収入補てんがあります

育児休暇前の給与の約半分が補てんされます

育児休暇前の給与の約半分が補てんされます

育児休暇中は前述のとおり社会保険料が免除になります。でも肝心の収入面が気になりますね。育児休業期間中は給与支給なしの企業が多いですから、それでは安心して育児休暇を取得しにくい状況ですね。

そこで雇用保険の出番です。雇用保険には一定の条件を満たすと従業員に対して育児休暇期間中の収入の減少を補填してくれる給付金があるのです。次で確認してみましょう。

育児休業給付金(育児休暇期間中の収入補てん)

■受給できる従業員(男女は問いません)
・1歳未満の子(一定の場合は1歳2ヶ月または1歳6ヶ月)を養育するために育児休暇を取得する従業員
・育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上あること

■給付額
次の計算式の額です。
休業開始時賃金日額(※)×支給日数×40%(但し当分の間50%となっています)

※育児休業開始前(産休を取った場合は原則として産前産後休業開始前)6ヵ月間の賃金を180で除した額。簡単に言うと前6ヶ月の平均日割額です。この額が休暇期間中支給されるのです。50%ですから直前の給与収入が約半分補てんされることになりますね。まさに子育て支援を収入面でバックアップしていることが分かります。

(その他の支給の条件)
・休暇期間中、休暇開始前の給与の8割以上の支払いがあると支給されません
・休暇日数が各支給対象期間ごと(育児休暇開始から1月ごとに区切った期間)に全日休暇日が20日以上なければ支給されません

■提出書類など
・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業基本給付金支給申請書

(添付書類)
・賃金台帳・出勤簿・労働者名簿など記載内容を確認できる書類
・母子健康手帳等その他育児の事実を確認できる書類の写し
まず休暇開始前の給与額を証明し受給資格があるかどうかを確認する手続きをします。支給申請は原則2ヶ月に一回ごとです。

■提出先
事業所の所在地を管轄するハローワークです。

■その他(雇用保険料について)
雇用保険では休暇期間中で給与の支給がなければ当然ながら雇用保険料は発生しません。社会保険のような免除のしくみはありません。

<参考記事>
従業員の社会保険料はどのようにして決まるのか?

<参考資料>
全国健康保険協会 出産に関する給付

ハローワークインターネットサービス 育児休業給付とは
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