温泉/東北の温泉

作並温泉 岩松旅館(2ページ目)

岩松旅館は作並温泉発祥の老舗宿です。木造階段を降りた先に、源泉の異なる湯船が並ぶ様子は、まさに日本屈指の湯と風情。いくら褒めても褒め足りない温泉の素晴らしさです。施設はホテルのように近代的で、朝食バイキングの非凡な配慮の行き届き方から、お客様の意見を大切にする宿と分かりました。温泉が最高な上にお客様重視なら、温泉好きにとって理想の一軒に違いありません。今回は作並温泉岩松旅館を紹介します。

藤田 聡

執筆者:藤田 聡

温泉ガイド

岩松旅館で温泉満喫

岩松旅館天然岩風呂

日本屈指の温泉と感じ入った岩松旅館の天然岩風呂

岩松旅館天然岩風呂入口

本物の温泉は入口の風格から違う。大沢温泉大沢の湯を思い出す木造階段の先に温泉好きの極楽が待っている

岩松旅館は作並温泉発祥の宿で、谷底にある天然岩風呂が名物です。他にも男女別大浴場や女性専用風呂もありますが、天然岩風呂があまりにも素晴らしいので、他は省略します。天然岩風呂は作並温泉発祥の江戸時代からあり、昔から長い階段を降りて辿り着く湯で、今は途中までエレベーターがあり階段の数がやや少なくなったとはいえ、依然として長い階段でしか行けない湯です。

まず、この木造階段の風情が素晴らしいのです。同様に階段を降りていく名湯は日本各地にありますが、やはり東北という事で、大沢温泉を思い出します。大沢温泉の大沢の湯へ行く階段は、これ程長くありませんし、近年改装されたので新しいものですが、階段の先に素晴らしい名湯があるという意味で、つい思い出してしまうのです。この階段の風情を味わいながら、ゆっくり降りていくのが、温泉好きだと私は思います。

途中、女性専用風呂を通過して谷底に到着すると、岩の露天風呂があり、4つの湯船が並んでいます。手前から瀧の湯、新湯、鷹の湯、河原の湯の順に並んでおり、それぞれ自噴自家源泉の掛け流しです。川沿いに源泉が異なる湯船が並ぶ様子は、東北という事もあり、夏油温泉を思い出します。温度調節の為、多少加水されますが、少量なので問題ありません。天候や温度調節のタイミングにより、湯の状態は微妙に変化すると思われますが、私が行った時は新湯と鷹の湯でかすかに石膏臭を感じ、さすが自噴源泉と思いました。

含食塩芒硝泉の湯は、温度が高いと塩分刺激で体感温度も高まり、辛くなってしまいます。しかし、加水で温くしたのでは、温泉本来の良さが損なわれます。そうした微妙な温度調節の賜物で、素晴らしい湯になっているのです。4つの湯船を毎回入り比べて、お気に入りの湯船を見つけて長湯するのがおすすめです。ただし、芒硝泉はあたたまるので、浸かり続けるとのぼせてしまうので、出たり入ったりして楽しみましょう。

大沢温泉や夏油温泉を思い出すのは、湯も風情も日本屈指である事を、無意識の内に理解しているからです。しかも、大沢温泉や夏油温泉は日帰り入浴受付時間が長いですが、岩松旅館では昼前後の僅かな時間しか受け付けません。他の時間は、宿泊者だけでこの日本屈指の温泉を堪能できるのですから、温泉好きにとって、これ程に贅沢な事はないと確信しました。いくら褒めても褒め足りない温泉の素晴らしさこそ、この宿の最大の魅力です。

天然岩風呂は混浴で、19:30~21:00、翌朝5:30~7:00は、女性専用時間になります。また毎週日曜日は、13:00~15:00まで清掃で入浴できません。なお、川沿いの為、台風等の増水時には入れない場合があります。

次ページで、岩松旅館の食事をご紹介します。
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