これはだれもが抱く願望です。それでも、投資に失敗して多くの人がお金を失っている現実もあります。どうしてうまくいかないのでしょう?
私が多くの人を見てきて、お金で失敗する人には共通の特徴があります。それらをこの連載で明かしていきたいと思いますが、最大最高の特徴は「目標がない」ことです。
「お金を増やす目標」とは?
お金を増やすには目標を設定することが大事!
「お金を増やす」ための目標は、「いつまでにいくらにしたい」という文脈で語られるはずです。それなら、「できるだけ早くに多ければ多いほどいい」と正直な腹の内を明かしてくれる人もいますが、それも目標ではありません。ただの欲です。
目標とは、具体的で、計ることができて、期限があるものです。どんな人でもお金の運用をするときに、この目標設定をしなければ、結果は悲惨なものとなること間違いありません。
目標を持たないということは、限度があらかじめ設定されていないということですから、リスクの大きい投資や危険な投機に人はのめり込みがちです。「早くたくさん!」とあなたがねだれば、どんどん険しい道を突き進んでいき、遭難したり迷路にはまる可能性が高まります。
目標はルールを作る
目標を持てば、目標以上のリターンは要らないと限度を設定することとなり、投資における自主規制ルールとなります。これ以上のリスクは負わないと決めることが、危うい投資行動に関わることを防いでくれるのです。いえ、私はそんなに冒険家ではないから、目標などなくても安全な道しか歩まない、という慎み深い人もいることでしょう。しかし、旅の目的が明日までに京都に行くことであったとしたら、安全な道を歩いていたらいつになったらたどり着くことでしょうか。
自分で自動車を運転することは避けるにしても、せめて電車に乗るくらいのスピードを確保しなければ、旅という行為そのものが成立しなくなります。期限があるのですから、最低限負わなければならないリスク(最低限の危険性)を確認したうえで旅に出たいものです。
目標を収益率で表わす
いつまでにいくらに増やしたいかが決めれた人には、次のステップをご紹介します。目標が設定できたら、次は目標をパーセンテージで持つということです。たとえば、投資の目的が老後の生活費だった場合、目的が達成したいのは10年後?20年後?あるいは30年後か、そのくらい気の長い話になるはずです。長期間の目標設定にはゴールの数字だけではなくて、途中経過を検証できる表現が必要です。
マラソンを2時間30分で走るには、1キロを3分55秒で走らねばなりません。するとマラソンランナーにとって使いやすい目標はゴール時間ではなくて、1キロ3分55秒というスプリットタイムなのです。マラソンでいうスプリットタイムの代わりになるものが、投資では収益率です。
ここに問題があります。「いつまでにいくらを」というゴール設定をスプリットタイムである収益率に置き換えるのは、実は簡単ではないのです。ですから、人はその方法を知らずに収益率という目標を持たずに投資行動に突入してしまいます。