大人のお金 トレーニング講座/大人のお金 トレーニング講座

ポートフォリオって、いったい何なの?

投資や資産運用の話でよく出てくる「ポートフォリオ」という言葉、なんとなく分かるんだけど、いったい何なの?という素朴な疑問にお答えしたいと思います。それは簡単だけれど、奥が深いお話です。そして、いろいろな分野に応用すると人生が充実してくる魔法の言葉でもあるのです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

  • Comment Page Icon
投資や資産運用の話でよく出てくる「ポートフォリオ」という言葉、なんとなく分かるんだけど、いったい何なの?という素朴な疑問にお答えします。

ポートフォリオの語源は

ポートフォリオPortfolioとは、もともと書類をはさむ紙挟みのことでした。一般的には、書類カバン、携帯用書類入れ、折りカバンなどを指します。が、入れ物を示す言葉が、いつの間にか中身の集合体を示すようになりました。

画家、写真家、デザイナーなどは、自分の作品を、ポートフォリオにまとめて入れて持ち歩きましたから、そうした作品集をポートフォリオと包括的に呼ぶようになったと思われます。つまり、ポートフォリオの二次的な意味は、自分の特徴や仕事の経歴をアピールするために作品や成果物をまとめたものでした。

その言葉が、今度は資産運用の世界で応用されると、株券や保険証券、不動産登記書類など資産の組み合わせ、財産目録という使われ方に広がっていきました。

ポートフォリオは財産目録

昔は、リスクもリターンも分からずにお金を投資していましたが、20世紀の後半から資産運用の世界では、お金を効率的に増やすために、資産配分の全体最適を目標とするようになってきました。

その意味では、ポートフォリオという言葉は、配分とか全体とかいいうコンセプトを示すのに絶好のボキャブラリーであったと想像されます。その思考転換を決定的にしたのは、1950年代にアメリカの経済学者ハリー・マーコヴィツが発表したアセットアロケーション理論でした。

将来の収益は、資産配分が決める。値動きの異なる資産を上手に構成すればリスクを抑えてリターンを上げることができる、というのがアセットアロケーション理論です。

それは、すなわちポートフォリオを効率的に改善していく手法を示しました。そこで現代ポートフォリオ理論とも呼ばれるようになります。少し複雑になりますが、ポートフォリオは財産目録で、アセットアロケーションとは財産目録を効率良く改造するための、一つの方法論だったのです。

ポートフォリオ思考の応用

このポートフォリオという考え方、お金の世界に関わらず、私たちの人生にも、非常に大きな示唆を与えてくれます。

たとえば、教育です。冒頭でご説明したように、むかしは画家や作家などの特殊な才能を持った人たちにとっての作品集だったポートフォリオですが、
現代では、普通の子どもたちの能力を評価する方法として、ポートフォリオ評価法として応用されています。総合学習の過程で生徒が作成したいろいろな作品や記録を収集し、教師とともに生徒自身も自己評価を行い、学習の効果を高めていく手法です。

あるいは、多元的な収入を収入ポートフォリオなどと言いますし、そうした先進的な働き手をポートフォリオワーカーとか呼ぶ人がいます。

これは、収入を複数作るということ、自分の能力をお金に換えるルートを多角化するということ、どんな時代が来ても食いっぱぐれない自分を作るという考え方です。たくましく生き抜くために、これからの日本人に必須の人生戦略の一つであるといえます。

ポートフォリオには、分散、多角化、総合力というイメージが込められています。それは、お金、作品、教育、仕事だけでなくて、あらゆる分野に適用できる、柔軟な考え方です。

あなたも、資産ばかりでなく、人脈を、スキルを、そして人間力をポートフォリオ化してみませんか?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます