以上、実験結果のまとめ
ポリフェノールについて紅茶本来のもつ適度の心地よい苦味と渋みは、100度程度の熱湯により最も現れるようです。水出し紅茶にするならアッサムよりダージリンが適しているといえそうです。アッサムで水出しにすると、適度に心地よい苦みと渋みが十分に感じられず、やや水っぽいと感じることがあります。これは総ポリフェノール量の測定結果によって科学的に実証できたといえるかもしれません。
また、紅茶というと思い浮かぶ紅系のきれいな色(テアフラビン類の量)は、アッサム100度の熱湯抽出で最もよく出ることがわかりました。また、これについてダージリンの場合では、常温水で長時間かけて抽出したほうが、100度抽出より若干良く出ることもわかりました。
カフェインについて
アッサムとダージリンで比較すると、アッサムのほうが茶葉本来のカフェイン量が多いといえそうです。一般的に紅茶をいれるとき、100度程度の熱湯でいれますが、その場合、アッサムのほうが溶出するカフェイン量が多いといえるでしょう。60度程度ではカフェインはあまり溶出されず、特にアッサムにおいては60度では、100度でいれた紅茶の3分の1程度のカフェインしか溶出していません。
水出しでつくる、ダージリンにはカフェインが多く溶けだします。アッサムについては100度でいれた紅茶のカフェインが最も多いことがわかりました。
アミノ酸について
アッサム、ダージリンとも60度が最も溶出していることから、熱湯より、玉露をいれるときのように沸騰より低い温度でいれた方が旨みを引きだしやすいと思われます。また、水出しでじっくり紅茶をいれてあまり渋みを出さずに、旨みを引きだす方法は有効だといえそうです。
結果から、紅茶は熱湯でいれることにより、元来の茶葉に備わった苦みや渋み、旨みを引き出すことができます。つまり、ダージリンもアッサムも紅茶は、一般的に高い温度でいれた方がよいといえます。
水出しにするなら、アッサムよりダージリンの方がほどよい渋みと苦みを引きだせると考えられそうです。ダージリン以外なら、中国種系の茶葉もよいと考えられそうです。
旨みは沸騰水よりやや低めの温度のほうが出やすいようなので、茶葉によって旨みを引き出したい紅茶については必ずしも100度程度の熱湯でいれるのではなく、仕上がりの紅茶のために水の温度を調整すると面白そうです。
実験にご協力いただいた先生方
冨田 勲先生 静岡県立大学名誉教授 この実験や実験結果分析などを監修
立山千草先生 新潟県立大学 人間生活学部 健康栄養学科 准教授
竹元 裕明先生 北里大学 薬学部薬学科 助教
神山 伸先生 新潟県立大学 人間生活学部健康栄養学科 助教