学習・勉強法/小学生の勉強方法・学習習慣

お受験の勉強は小学校で役に立つのか?(2ページ目)

対象が幼児でありながら、小学校受験をするには「受験勉強」という名の準備が必要です。その受験勉強が小学校入学してから役に立つのでしょうか。その点について考えてみます。

高橋 公英

執筆者:高橋 公英

学習・受験ガイド


小学校受験勉強の分野

小学校受験に出題される分野は多岐に渡っています。季節の植物や食べ物、行事・道徳といった常識から、絵画や制作の造形や巧緻性、言語・数量・図形・推理・記憶など知的能力、運動や身体的発達、行動観察に代表される社会性など盛りだくさん。

果物

旬の食べ物や季節の行事は大人でも常識として知っていてよいもの

常識については知っていて損はありません。それどころか人としての基礎を作るものといっても良いかも知れません。旬のものを食べ、季節の行事を家族で一緒に経験することは情操教育の面でも好影響を与えるでしょう。この実地に体験することがポイントだと思います。

絵画や制作、巧緻性つまり手先の器用さも良いに越したことはありません。練習すれば誰でもできることは、練習しておくと良いでしょう。ただし、絵画などで「こう描かなくてはならない」「こういう絵を描くと高得点が期待できる」という押し付けは、子どもの独創性を損ない、場合によっては美術嫌いを生む可能性があります。

自由に大胆な絵を描いていた子どもが、入試直前になったら萎縮したつまらない絵を描くようになってしまった例を知っています。枠にはめようとしすぎて失敗したのです。

運動も同じです。高得点を取るために押し付けるのではなく、記録が伸びるのが嬉しい、努力が結果に出るから頑張るのなら、子どもの意欲を伸ばすはず。いつになったらできるのか、なんでもっとやれないのかとマイナスの評価ばかり受けていると、子どもが劣等感を持ってしまいます。

一番やっかいなのが知的能力の部分です。いわゆるお勉強の分野だからです。

小学校の教科に連続する分野

お受験の勉強でも、将来国語や算数で学習する内容の先取りがあります。この分野はいずれほとんどの子どもができるようになるものですから、早くから教え込む形は望ましくありません。手順だけ覚えてしまうと、小学生になって学習する時点で「ぼく知っているよ」と真剣に学習しなくなってしまう可能性があります。

また先取り学習の知識を使い果たして、私立小学校で苦労している生徒も見かけます。小学生になると幼児のときのように尻を叩いてやらせることが難しくなるからです。

同じ学習をするのであれば、生活体験と結びついた形で理解しておくと、将来の学習時により深い理解につながります。例えばコップの水の多い少ないであれば、実際の容器の移し替えを経験しておくことです。分ける問題であればお菓子を家族に配って、何個ずつや余りを知っておくと、計算と体験が深く結びつきます。今の小学生では筆算ができるのに、簡単な数の操作がイメージ上でやれない生徒が少なくないのです。

小学校ではあまり取り組まないIQを伸ばす分野の問題。幼児にも直感的にできる問題が多く含まれていて、こうした問題に取り組んだことがあるかないかで差が出るような問題は、地頭(じあたま)を良くする効果があります。楽しんで取り組めれば良いと思います。

知的能力の分野で注意しなくてはならないこと、それは無理強いしないということです。幼児の知的発達はまだら模様で進んでいる分野もあれば遅れている分野もあります。今出来ないことが一月後ならできる、極端な場合は明日ならできるということも。

こうした点に注意して、できるだけ生活体験と結びつけてするのであれば、小学校受験のための勉強は決して無駄にはならないと言えるでしょう。


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