親のしつけが「大人の私」に影響している? 

落ち込んでるサラリーマン

漠然とした不安を感じるのは、幼い頃の家庭環境に原因があることも

幼い頃、私たちはいいことをすればほめられ、悪いことをすれば怒られながら成長してきました。そんな毎日のなかで、幼いなりに「こんな人になりたい」と考え、生きる姿勢を決めてきたのかもしれません。

安心できる家庭環境で育てば、子どもも安心して自分らしく成長することができます。しかし、不安な環境で育つと、子どもの人格に大きく影響が及ぼされます。

機能不全状態となった家族の中で傷つきながら育ち、成人になってもそのトラウマを抱えている人を「アダルトチルドレン」といいます。もともとは、アルコール依存症の家族のもとで成長した大人(Adult Children of Alcoholics)を意味する言葉でしたが、現在では「機能不全」になった家族の中で育ち、傷を抱えながら成長してきた大人、と捉えるのが一般的です。

ではこの「機能不全家族」とは、どんな家族なのでしょう? アルコール依存、虐待、育児放棄、離婚など、目立った問題がある家族ばかりとは限りません。家族の形は保たれていても、しつけやルールが厳しすぎる、もしくは基本的なルールがない、他者や地域との関わりが薄い、笑いや会話がない……こんなことから家庭環境が殺伐とし、子どもが安心して成長できない家族が「機能不全家族」と考えられています。

本来、家庭のなかに基本的なルール、安らぎやコミュニケーション、許し合い、信頼できる絆があれば、家族は安心して成長することができます。しかし、それが欠落した家庭で育つと、子どもは不安や恐怖、疑問を抱え、親の顔色を見ながら自分の生き方を考えようとします。

機能不全家族で育った子どもの6つの役割 

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気づかないうちにたくさんの荷物を背負わされていた?

機能不全家族で育った子どもによく見られる「役割」には、6つの特徴があると考えられています。(クリッツバーグの定義による)

(1) ヒーロー(英雄)
頭のいい子、スポーツのできる子、歌やダンスの上手い子、模範的な行動をする子など、世間的に評価される行動をとる「できる子」のことです。できる子になると親が喜んでくれるので、より高い成果を求めて頑張ろうとします。

(2) スケープゴート(身代わり)
ヒーローの正反対の存在である、「ダメな子」。家族に疎まれるようなことをする子どもです。いたずら、いじめ、乱暴、赤点など怒られるような行動をとったり、よく病気をしたり、誰でもできるようなことをしくじったりして注目を集めます。

(3) ロスト・ワン(いない子)
家族の中でもまったく目立たない存在の子。家族が集まる場所でもいつも隅っこの方にいて、仲間に加わりません。どこかにいなくなっても、いないことすら気がつかれないような子です。

(4) プラケーター(慰め役)
泣いている母親を抱きしめ、「ボクがそばにいるから安心して」などと慰めてくれるような子です。家族のストレスを癒し、心の支えの役割を担っている子どもです。

(5)クラン(道化役)
冗談を言ったりおどけたりして気を引き、家族の関係を取り持とうとする子どもです。ちょっとした笑いをふりまけば家族に一瞬笑顔が訪れますが、本人は心から楽しんでいるわけではありません。

(6)イネイブラー(支え役)
幼い頃から親の手伝いをし、きょうだいの面倒を見たりするしっかり者の子です。大変な仕事も喜んで引き受け、大人のようにてきぱき仕事をこなします。

参考:斉藤学『アダルト・チルドレンと家族』(学陽書房)、日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオンHP

次のページでは「ダメな子が背負ってきた役割と抱える気持ち」について解説します。