右側(左側)だけの腰痛、子宮内膜症が原因だったケースも
片側だけに腰痛あり、腰痛体操などをしても改善しない……女性特有の病気の可能性も
腰痛対策用のエクササイズで緩和されるような、腰部の筋肉疲労による腰痛とは根本的に違うため、早めに婦人科を受診しなくてはなりません。
「重い荷物を運んだ後で急に腰痛になったから、そのうち痛みも和らぐだろう」と思いこんだまま月日が経過してしまい、改善しない腰痛について調べて、やっと子宮内膜症だとわかった、というケースもあります。最初に一般的な筋疲労性の片側腰痛を経験すると、その後で子宮内膜症による痛みが長く続いても、受診のきっかけを失いやすくなってしまうのでしょう。自分自身で子宮内膜症かどうかを鑑別することは難しいですが、慢性的な自覚症状がある場合は子宮内膜症も疑い、婦人科を受診するきっかけをつくることはできると思います。
<目次>
子宮内膜症に伴う腰痛の特徴
子宮内膜症とは、子宮の内側を覆っている膜が、卵管や卵巣、腹膜、腸など本来あるべき場所以外に増殖し、その働きをしてしまう病気。子宮内膜症に伴う腰痛の特徴として、安静にしているときにでも痛みを感じるという点が挙げられます。通常の腰痛は、腰の筋肉の緊張を和らげるような体操や、姿勢に注意することで軽減されることもあります。横になって安静にしている状態で痛むことは、ほとんどありません。もし、じっとしているときも腰痛を感じるようであれば、要注意。他の自覚症状がないかをメモに書き出してみましょう。子宮内膜症が隠れている場合、腰痛の他に、下腹部の痛みや違和感などの症状が伴うケースが多いようです。
子宮内膜症と腰痛の関係で、気をつけるべきケース
中にはとても紛らわしいケースもあります。それは、子宮内膜症に伴う腰痛と、腰の筋肉や関節に負担がかかったことによる通常の腰痛が、同時に起きてしまった場合です。ひとつのケースをご紹介しましょう。Aさん29歳、会社員。毎日のほとんどの時間をパソコンの前に座って過ごしています。そのせいか、腰の右側にだけ鈍い痛みを感じることが増えてしまいました。体を動かせば少しは腰痛が緩和されるものの、思うように体を動かす時間をとることができずにいました。
ある時から、右側の腰の他に骨盤付近に痛みを感じるようにもなっていました。「運動不足だから、腰痛の範囲が広まってひどくなってしまったのかな?」と、そのまま様子をみることに。安静にしていても感じる腰痛は、今までの腰痛を悪化させてしまったため、と考えたようです。
Aさんのケースでは、以前より月経痛がひどくなり、月経の数日前から少しの出血、下腹部の痛みなどもありました。しかし「仕事が忙しいとストレスがたまるから、それが生理に影響しているだけだろう」と、月経の変化と腰痛を切り離して考えていました。これはよくある腰痛と子宮内膜症の症状が併発していたケースの一つです。
もしかして子宮内膜症? こんな症状があれば要注意!
腰痛の他に悪化する月経痛や下腹部痛はありませんか?
子宮内膜症の症状は複数で、個人差がありますが、痛みなどの症状が強く、寝込んでしまうという人もいます。
安静時の腰痛、体を動かしても変化の無い腰痛、悪化していく腰痛に加え、次のような症状がある場合、または、腰痛がなくても下記のような症状がある場合は、婦人科を受診することが望ましいと思います。
□ ひどくなっていく月経痛
□ 下腹部の痛みが、月経の時以外でもある
□ 不正出血がある
□ 月経の際、出血量がとても多くなった
□ 排便時に、肛門が痛む
□ 性交時の痛み
□ 腹部が膨らんだ感覚
□ 腰痛・骨盤付近の痛み
月経に伴う症状は、しばらく様子をみたり、我慢をしてしまう人が多いように感じます。受診が遅れることで、状態を悪くする可能性もあります。早期発見のためにも、気になる自覚症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。
■参考
- 子宮内膜症(MSDマニュアル(プロフェッショナル版))
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