学習・勉強法/早期教育・幼児教育

中学・高校まで長持ちする学力は考える習慣から(3ページ目)

繰り返し学習しているにも関わらず学力が定着しない原因は、内容理解が伴わないやり方中心の学習にあります。中学・高校まで使える学力を身につけるには考える習慣を養うことが近道です。

高橋 公英

執筆者:高橋 公英

学習・受験ガイド


学力を定着させる学習法とは

時計

時間の仕組みを知ることと時刻が読めることは違う

先ほどの時計で時刻が読めない生徒は、分針の読み方を次のように覚えていました。数字の書いてあるところを5-10-15-20と5ずつ数える。針が数字でないところにあったら、そこから数える。

ところが「5ずつ数える」を忘れてしまったのです。そのため分針を数えることができなくなったのでした。そもそも分針は小さい目盛り一つが1分で、数字の印のところはそれが5つ分だから5ずつ数えると理解していたら、「5ずつ増える」ことを忘れても、1分の目盛りを数えられたはず。

原理がわからずやり方だけを覚えていると、やり方を忘れた途端にできなくなってしまいます。分数のできない大学生も同じだと思います。やり方で身につけていたので、やり方を忘れたからできないのです。

よく私は保護者に「二次方程式の解(根)の公式を覚えていますか?」と尋ねます。かなりの方が「忘れました」とおっしゃります。しかし二次方程式は因数分解で解けますし、因数分解できないものは平方完成を使って解くことができます。そもそも解の公式は平方完成から導いたもの。平方完成は考え方=アルゴリズムですから、理解すればいつまでも使えます。

つまり定着する学習とは「理解しながら覚える」ことなのです。当たり前のように思えますが、今の子どもたちをみていると意外なほどこれができていません。

四則計算はできるのに、何算かわからない文章題になるとお手上げという生徒を数多く見てきています。算数の成績上位の生徒でもそうなのです。考えることは面倒で、手っ取り早くできる方法を知りたがる。多くの生徒に共通した現代っ子の特徴です。

漢字の学習も同じです。単独の漢字練習をした後に熟語を練習します。多くの小学校で漢字スキルのような副教材が使われています。学校で学習し、宿題でも学習しています。

けれどもそこに出てくる熟語を子どもたちは普段の生活で使っていないので、すぐに忘れてしまうのです。子ども同士の会話ではそうした熟語が登場することは期待薄です。家庭の両親の会話、親子の会話の中で使っていれば子どもたちにも身につくもの。大人びた話をする生徒の家庭は、そうした会話が飛び交う環境のことが多いのです。

子どもは大人の会話に耳を傾けています。ごっこ遊びを見ているとそれがよくわかります。病院通いが多い子どもは、お医者さん役が様になります。難しい医学用語をさりげなく使いこなしているからです。まさに「門前の小僧習わぬ経を読む」です。

後々まで使える学力を身につけるには、手順・方法を一歩超えて「なぜそうなるのか」を理解すること。そして「知識を子どもの身近に感じられるところまで引き寄せること」が大切です。考える姿勢は習慣でしか身につきません。親子の会話で「なぜ?」を意識することから始めてみませんか。
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