奥様のお買い物までこなせるスーパーカー!?
その性能の割には、あまりにも控えめなスタイル。サイドのスリットとそこに配されたM5のマークが無ければ、フツーの5シリーズにちょっとエアロ付けた?みたいな。しかしそのエアロも徹底的に計算されており、またドアミラーはその延長で専用デザインです
V10なんて、それこそ当時のF1マシンか、ランボルギーニガヤルドやポルシェカレラGTといった、いわゆるスーパーカー(さもなければトラック)が積むようなエンジン。それを日常に使える量産型セダンにぶっ込んで、しかも他と比べたら格安とすら思える1290万円というプライスタグをぶら下げて、2004年にデビューしたのですから、当時私のよだれはとまりませんでした。
専用シートの表皮はメリノレザー。無段階に調節できるサイドサポートが備わっています。フロントは3段階に設定できるシートヒーターを、さらに電動ランバーサポートも装備しています
当時F1でウイリアムズにエンジンを供給していたBMWが仕立てた、F1と同じV型10気筒。自然吸気ながら最高出力は507ps、最大トルク53.0kg-m。250km/hでリミッターが作動し(作動しなければオーバー300km/h!)、0-100km/hはわずか4.7秒なんていう、まさにスーパーカー並の性能を所有しています。
また車速を、フロントウインドウに映し出されるカラーのヘッドアップディスプレイで確認し、同じく表示されるエンジン回転数を見ながら、F1マシンのようにパドルシフトで自在に操って走れる「セダン」に搭載。2ペダルMTですから、AT限定の奥様でも普段のお買い物の足に使える、スーパーマシンです。まぁ~なんて素敵な量産車をBMWは作り出してくれたのでしょう。しかもそれが中古車なら400万円前後から手にはいるなんて、日本は幸せな国だと思いませんか。
2006年からF1はV8エンジンにレギュレーションが変更されていますし、先述したように世の中はエンジンのダウンサイジングが主流。もはや世の中エコを無視して車を作るわけにはいかない時代です。またBMWは1997年にウィリアムズとともにF1に参戦したものの、その後ザウバー買収など紆余曲折あって、結局2009年のシーズンをもって撤退。ですからF1技術がフィードバックされたとされるこのV10、かなり希少価値が高いと言えるのではないでしょうか。
そんなM5が、先述したように随分とお手頃価格から選べるようになったのです。その魅力を次ページでさらに詳しく見ていきましょう。