グレート・ジンバブエの歴史
復元された家並み。グレート・ジンバブエの園外では、観光用コテージとして復元されたこのような家々に宿泊することもできる
グレート・エンクロージャーの壁面。曲線が美しい ©牧哲雄
このグレート・ジンバブエが飛躍したのは9世紀ほどからだといわれている。サビ川上流にグレート・ジンバブエを発見したイスラム商人は、豊富にとれる金に目をつけ、モンスーン貿易の拠点と位置づけるようになる。グレート・ジンバブエは金をはじめとする鉱物を輸出して莫大な富を手に入れ、アジアの綿織物や中国製の陶磁器・武器・工具等を輸入した。これらの出土品は入口にある博物館で見ることができる。
グレート・ジンバブエに巨大な石造都市が造られたのはこの頃らしい。他の都市がアジアのイスラム建築等の影響を受けていくのに対して、グレート・ジンバブエは独自の石造建築を発展させ、城壁で街を囲い、首長の宮殿を築き、他に類を見ない都を築き上げた。最盛期の人口は2~4万人にもなったという。
アクロポリスの城壁。上の不安定そうな岩がバランス・ロック ©牧哲雄
なお、同じ石造文化の流れを汲む南部アフリカの世界遺産としては、南アフリカの「マプングブエの文化的景観」やジンバブエの「カミ遺跡群国立記念物」がある。マプングブエはグレート・ジンバブエの石造建築のもとになったといわれ、カミ遺跡はグレート・ジンバブエの石造建築をさらに発展させた遺跡として知られている。
グレート・ジンバブエの見所
谷の遺跡から眺めたアクロポリス。崩れているのは昔の街並み
■アクロポリス
周囲を見下ろす丘の上の地区はアクロポリスと呼ばれ、高さ7mにも及ぶ城壁や王宮・祭祀跡などから構成されている。政治と宗教の中心地であり、防衛拠点でもあった。ここからの眺めが最高に美しい。
■グレート・エンクロージャー(大囲壁)
グレート・エンクロージャーの入口 ©牧哲雄
■谷の遺跡
ショナ人たちの住居跡を中心とする地区。ほとんど崩れてしまっているが、石造りの家々があったり、土壁・草葺きの家並みが復元されていたりする。中心部は首長や王族の居住地だったようだ。
グレート・ジンバブエは何より雰囲気を楽しんでほしい。自然との一体感はすばらしいし、またグレート・ジンバブエ周辺の街や村もとんでもなく美しい。ライオンやキリンが住んでいるサバンナも近く、大自然と共に生きるアフリカの神髄が味わえるはずだ。