大流行したグースネックウェッジ
最近ゴルフをはじめたゴルファーは、グースネックという言葉に馴染みがないのではないでしょうか?グースネックとは、アイアンの形状を示す用語で、シャフトの延長線上よりリーディングエッジ(刃の部分)が、後ろにあるものの事を言います。
ネックがガチョウの首のようになっているところからついた名前です。オフセットがある、フェースプログレッションが小さい、という表現もほぼ同じ意味を指します。
市販されるアイアンセットは、いまだにグースネックのものが主流です。グースのついていないストレートなネックのアイアンは、上級者向けとされています。しかし、ウェッジになると大抵ストレートネックのグースがあまりついていないものがほとんどになります。
かつて、グースネックのウェッジは、日本の芝に合うということで、大変人気があったものです。
名器と呼ばれる「リンクス マスターモデル」は、青木功プロをはじめ多くの名手に愛されました。尾崎将司プロは、自身のこだわりを形にした「J‘s」のウェッジで、いくつもの名場面を生みました。やや大ぶりで、ヒールが高く、リーディングエッジがストレート、強いグースのついた「J’s」のウェッジは、日本におけるグースネックウェッジの代名詞になりました。
90年代の後半くらいまで、日本ではプロ・アマ問わずグースのついたウェッジを使用するケースがほとんどで、現在のようなストレートネックで、ティアドロップ型と呼ばれるウェッジを使用するゴルファーは少数派でした。
グースネックの名器「J's チタンマッスル」。ソールに”Jumbo”と入っているのは限定モデル
大きな理由としては、プロの使用率があげられます。現在、ほとんどのプロがストレートなティアドロップ型のウェッジを使用しています。
90年代の後半に強いグースネックで“マルサンド”と呼ばれた自身のモデル「MR-23」を使用していた丸山茂樹プロが、アメリカツアーに参戦する前後からストレートなネックのモデルに替えたのはその象徴的なエピソードです。
丸山プロだけでなく、タイガー・ウッズのような海外の著名プロでもグースネックのウェッジを使用しているプロはほとんどおらず、そうした情報が日本のアマチュアゴルファーに浸透したのではないかと思います。現在の主流は、アメリカでも日本でも、「クリーブランド」、タイトリスト「Vokey」、キャロウェイなどストレートネックのモデルです。