入居者に脅された高齢女性オーナー
高齢者に家賃督促は厳しい!
このオーナーさんには息子さんがおられたのですが、「仕事で忙しい息子に、迷惑をかけたくなかった」ということで、誰にも打ち明けられずに悶々と悩んでいたのです。けれども、あるとき息子さんが気づいて事情を聞いてみると、女性オーナーさんは涙ながらに話すことになったのです。
実は、家賃滞納が始まって1年目のとき、オーナーさんは街でたまたま入居者と出くわしたそうです。そこで「家賃を払ってください」とお願いしたところ、いきなり胸ぐらをつかまれて、ビルの谷間に引きずり込まれ、ひどい言葉で脅されたというのです。
お年寄りの女性オーナーさんはそれで震え上がってしまって、家賃の督促どころか、貸した家に近づくこともできなくなってしまったのです。そして長い間、この問題を一人で抱え込んでいたのでした。
私は息子さんから相談を受けて事情を知り、ひどく腹が立ちました。80歳にもなるお年寄りの女性を暴力的に脅すなど、絶対に許すことのできない行為です。
相談に来た息子さんは、「もうお金は問題ではない。とにかくこんな人と縁を切りたいので知恵を貸してください」ということでしたが、こんな輩を放置するのは、社会的にもよくないことです。
結局、それなりの費用はかかりましたが、弁護士と連携して家賃督促を進め、最終的に未払い賃料を回収し、不良入居者を退去させることもできました。訴訟に至らせず弁護士に丹念な交渉をしてもらったのです。私が督促などを代行すると、非弁行為と言って弁護士法違反になりますので、私の立場はあくまでも補助要員となります。
そして、問題解決後、オーナーさんには、アパートへの建て替えをお勧めしました。というのも、このまま一戸建てを1世帯に貸してしまうと、滞納があった場合には収入がゼロになってしまいます。その意味ではリスクが大きいのです。つまり、1戸ではゼロか100になります。
複数戸にリスク分散することにより、健全な賃貸経営に近づけることができます。オーナーさんの土地は50坪ほどの広さがあり、建て替えで8室ほどのアパートを作ることができました。
今度は自主管理ではなく、集金代行から空室保証まで全てを管理会社に任せるサブリース契約の形をとることにして、今では新しいアパートはオーナーさんの生活を支える存在となっています。