第5位 子どもの経験を上手く活かした
『とけいのほん1 』
この作品は、小さな子どもたちに時計の読み方を教えてくれる本として、人気が高いようです。でも、この作品のよさは、それだけではありません。「時計が読めること」の一歩先、つまり「時間を理解すること」を見据えて、絵本が作られているように思います。もともと、時計が読めることと時間の概念が理解できることとは、全く違います。それは、100まで数えられるからといって、数の概念を理解しているとはいえないのと同じこと。この作品には、「時計を読むこと」と「時間を理解すること」の間にある大きな溝を埋めていく工夫が見られます。
時計の針にあたるちびとのっぽが、散歩に出掛けます。2人が、どんぐりぼうややひかりのぼうやたちと出会ったり別れたりすることで、子どもたちは「時間の経過」をなんとなく感じることができます。そこに時計で表現された「時間」が自然と結びついていくように描かれているのです。
2冊セットでどうぞ 『とけいのほん2』
【書籍DATA】
とけいのほん1 (まついのりこ:文/絵)
価格:945円(税込)
出版社:福音館書店
推奨年齢: よんであげるなら4歳から
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