損害保険/損害保険関連情報

火災保険金を受け取ったら、税金はどうなる?

自然災害や火災によって損害を受けた場合、契約している火災保険から各種保険金を受け取ることになります。こうした保険金は数千万円レベルにもなりますが、受け取った保険金に税金はかかるのでしょうか?また、契約にあたり、税務上、注意しなければいけない点は?詳しく解説します。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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受け取った火災保険金では利益なし。よって「非課税」

火災保険金に原則、税金はかかりません

火災保険金に原則、税金はかかりません

災害により被災し、契約している火災保険等から受け取る保険金は場合によっては数千万円レベルになります。ただし、火災保険や地震保険から損害保険金を受け取った場合でも、受け取った保険金に税金はかからず、非課税となります。

そもそも、火災保険や地震保険の目的は「受けた損害の穴埋め」。つまり、損害の補てん分に限られているため、保険金を受け取っても利益は生じません。そのため、税金はかからないのです。

ただし、雑損控除や災害減免法による税控除を受ける場合には、損害額から支払いを受けた損害保険金がマイナスされることになります。そのため、損害額をぴったり穴埋めするだけの保険金を受け取れる場合には、雑損控除が受けられないこともあるので、この点は押さえておきましょう。
なお、地震保険の場合は、最大でも損害額の50%が保険金となりますから、全損として満額の保険金を受け取った場合でも、雑損控除や災害減免法による税控除も受けられるケースもあるはずです。保険金を受け取った翌年の2月16日からの確定申告で、しっかり手続きしましょう。
 

「火災保険料の負担者≠保険金受取人」であっても、保険金に贈与税はかからない

生命保険の契約では、たとえば契約者および被保険者が夫で保険金受取人が妻である場合、妻が受け取る死亡保険金は相続税の対象ですが、保険料負担者が夫、被保険者が妻、保険金受取人が子である場合、子が受け取る保険金は贈与税の対象となります。つまり、契約者と保険金受取人の設定次第で、種類は違いますが税金がかかることになるので留意が必要です。

一方で火災保険金の場合、火災保険料を負担した人と保険金受取人が同一でなくても、つまり、保険料をだれが負担したかにかかわらず、保険金受取人が受け取った保険金は非課税となります。

火災保険の契約上、被保険者とは建物の所有者を指し、損害保険金は被保険者に支払われます。契約者が所有者ではない場合には、契約者として保険料を負担していても、被保険者である所有者が保険金の請求権者となり、保険金も所有者に支払われることになります。

例えば、所有者が親となっている住宅に子どもが契約者となり火災保険をかけた場合、その住宅に火災が生じた際、火災保険金を請求し受け取るのは建物の所有者である親。ただし、親が受け取る保険金に税金はかからない、ということです。
 

全損でなければ、保険金額は復元、保険の効力はそのまま続く

建物が全損の場合、火災保険契約は終了します

建物が全損の場合、火災保険契約は終了します

各種の災害により建物や家財が全損となり、損害保険金を満額受け取った場合には、火災保険・地震保険契約は終了します。保険をかけている対象物がなくなってしまうためです。

一方で建物や家財が全損とはならず、満額に満たない保険金を受け取った場合には、保険契約はそのまま継続し、保険金を受け取った後も、保険金額は契約通りに全額復元します。つまり、2000万円の火災保険金額のうち、1000万円の損害に対して1000万円の損害保険金を受け取った場合でも、保険金額はその後も2000万円で維持されるということです。

なお、火災保険には、損害保険金そのもののほかに、「費用保険金」が受け取れる場合もあります。費用保険金とはいわば損害保険金の外枠で支払われるプラスαの保険金で、被災時に損害防止のために使用した消火器の費用や、火災の際に生じた残存物取り片付けのための実費などをカバーするものです。
こうした費用保険がセットされている場合には、損害保険金とともに、忘れずに請求をしましょう。
火災保険は一定の補償を束ねたパッケージ保険が多いため、うっかり請求忘れをしてしまうことも少なくありません。被災時、どのような損害に対して保険金の請求できるか混乱してしまわないよう、平時に確認しておいたり、補償をシンプルにしておくことも一つの方法です。

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