第1位「どの保険も補償内容は同じだ」
火災保険はご存知のように火災事故そのもののほか、自然災害も広く補償されるパッケージ商品が主流。なかでも「風災・ひょう災・雪災」による被害の補償は、ほとんどの商品にセットされています。昨今販売されている火災保険商品では、「風災・ひょう災・雪災」も含めたすべての補償項目について自己負担額を設定し、それを超えた分を補償する仕組みにしているケースが多いようです。
かつての主流商品だった住宅火災保険や住宅総合保険の「風災・ひょう災・雪災」では、保険金の支払い対象となるのは損害額が20万円以上となった時に限られます。損害額が21万円であれば21万円の保険金が支払われますが、19万円の損害には保険金がまったく支払われません。以前契約した火災保険は、受けた災害の種類や程度によって支払われる保険金が異なる分かりにくさがデメリット。補償項目が同じでも、このように同じ補償を受けられないケースがあるのです。
【お役立ちコンテンツ】■火災保険の風災・ひょう災・雪災ってどんなの?
第2位「水濡れ損害の補償は水漏れトラブルにオールマイティ」
消火活動による水濡れは火災として補償される
勘違いしないようにしたいのは、「給排水設備に生じた事故」とはいえ、老朽化による損害は対象外であること。また、「他の戸室で生じた事故」とは、マンションの上階の住人が起こした事故などで自分の建物や家財が水濡れ損害を被った場合に保険金が支払われるものであり、自らの過失による水濡れでは保険金支払いの対象になりません。
なお、隣家が火事になるなどして、自分の家が消防車による放水による被害を受けた場合には、「水濡れ」ではなく「火災」として補償を受けられます。
【お役立ちコンテンツ】
■火災保険の水濡れ損害とは?
■損害調査担当に訊く 火災保険事故のウラ側
■火災保険にセットする個人賠償責任補償とは?
第3位「水災の被害は実際の損害額が補償される」
火災保険の指すところの水災(水害)とは、台風や暴風雨、または豪雨等により発生した洪水、あるいは融雪による「洪水」、あるいは、近年相次いでいるゲリラ豪雨など。さらにマンホールから水があふれ出したため起きる都市型水害、「高潮」、地滑り、がけ崩れ、土石流などの土砂崩れなども含まれます。
広域災害になることもあり、保険会社にとって大きな保険金支払いリスクをはらんでいることから、水災は他の補償項目と異なる補償のなされ方をします。たとえばかつての主流商品だった「住宅総合保険」の場合、損害に応じて3段階の損害区分が設けられ、受け取れる保険金は最大でも火災保険金額の7割までとなります。
現在主力商品として販売されている火災保険は、水害の補償をもう少しわかりやすくしたものが主流です。たとえば、損害割合が30%以上となった場合には、保険金額を限度に損害額を保険金として支払う「実損型」(注:損害割合が30%未満の場合には、損害額と保険金はイコールにならない)や、損害割合の大きさにかかわらず損害額を100%補償する「完全実損型」もあります。【お役立ちコンテンツ】
■火災保険の水災(水害)とは?
第4位「破損・汚損補償はありがちな事故をカバーするからおトク!」
火災保険が対象とする多くの災害は滅多に起きることではないけれど、一旦起きれば、数千万円レベルなど家計では到底手に負えないような、大きな経済的ダメージを及ぼす可能性のある災害が中心です。一方で、その対極にある、被害額がある程度想定できる程度の小損害をカバーするのが「破損・汚損」の補償です。
たとえば、部屋の模様替え中に誤ってテレビを落として破損した、子どもが食器棚に向かってボールを投げて食器の大半が破損したなどなど……いずれも「うわ、やっちゃった!」といったレベルの、おおむね家計で対応可能な突発事故です。
「もらって嬉しい」という、ちょっとしたおトク感がこの補償から得られるメリットですが、イザという時に保険金を受け取るには、そもそも保険料を負担する必要があり、支払う保険料は設定した補償の手厚さに応じて高くなります。火災保険商品によっては、1回の事故についての家財の補償限度額(50万円など)を設定しているものもあり、そうなると受け取れる保険金自体も少額に限定されます。
家計の蓄えで原状回復が可能なアクシデントは、そもそも保険によるリスクヘッジが必要とはいえません。「もらって嬉しい」と「必要性」を分けて考えることが、合理的な保険利用の第一歩であることを覚えておいてください。
■火災保険の破損・汚損の補償はおトク?
第5位「支払われる保険金は損害を受けた額とイコールである」
火災時使用した消火器は別途費用保険金が受けられることも
費用保険金とは、一口にいえば損害額に上乗せして支払われるおまけの保険金。ですから火災保険は契約によって、損害保険金よりも多くの保険金が支払われることになる、と覚えておいてください。
たとえば損害保険金が支払われる場合に上乗せされて支払われるのが「臨時費用保険金」。使い道が限定されているものではないので、その時の事情に応じて各家庭が必要とする出費を賄うことができます。一方で実費を支払うものには、火事後の燃えゴミについての「残存物取片付け費用保険金」、火災が起きたときに使用した消火器などの費用をカバーする「損害防止費用保険金」、地震で起きた火事に対していわば見舞金を支払う「地震火災費用」などがあります。
費用保険金の契約方法は損保各社で異なっています。特約として着脱自由とする商品もあれば、特に申し出なくても、契約に自動的にセットされている商品もあります。また、費用保険金の種類についても、取り扱う保険会社によって異なります。
なお、かつて販売の主流だった住宅火災保険・住宅総合保険には、6つの費用保険金があらかじめセットされています。現在はすでに新規販売を行っていない商品でも、かつて住宅ローンと同時に契約したなら補償は現在でも契約当時のまま。イザと言う時は漏らさず請求を!
【お役立ちコンテンツ】
■火災保険の「費用保険金」とは?
改めて、火災保険の補償内容の見直しを!
補償項目が同じであっても、契約した時期により、火災保険の補償内容は異なり、受け取れる保険金が大きく変わってくることがあります。最近発売されている火災保険の方が、以前販売されていたものと比べ、わかりやすく補償も手厚くできるケースが多くなっています。わが家に見合った保険になっているのかどうか、特に住宅ローン契約時に何となく手続きをしてしまった方は確認が必要ですね。
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