中途採用だからこそ仕事の能力が分かる
中途採用は仕事の能力を評価しやすい
これに対して中途採用の場合は、過去の経験や実績を丁寧に聞き出し慎重に評価することで、入社後のパフォーマンスを比較的容易に予測することができます。 中途採用で失敗するのは、明確な採用基準を設定しないで面接を行うなど、入社後のパフォーマンスを予測する手続きがうまくいっていないことが原因です。
中途採用のメリットをうまく生かすためにも採用基準を明確にし、採用基準にあった人材を採用しましょう。
次に、採用基準の設定方法を解説します。
採用基準はスペックではなく、どんな仕事をさせるかが先
人材を採用する場合に重要なことは、「どんなスペックの人を採用するのか」ではなく、その人に「どんな仕事を任せるか」を先に確定させることです。どのような業務に従事させ、どのような成果を会社として期待しているのかを、最初に明確にさせる必要があります。担当させる業務を明確にした後で、その業務に必要な人材要件 (スペック)を決めるのです。先に求人スペックから入ると、どうしても必要なスペックを見落としてしまいます。
私の知っているあるコンサルティング会社は、応募者の会計知識だけに眼を取られ、会計スペシャリストの採用で失敗しました。会計のスペシャリストを採用する場合、社内で分析業務にだけ従事させるのであれば専門知識だけをチェックすれば事足りますが、クライアントとの対応が必要であれば、臨機応変なコミュニケーション力も必要となります。クライアントからの意見や質問に対して、的確にかつ柔軟に対応できる能力は専門知識の有無とは別のものです。
事務職を採用する場合も、パソコンスキルだけを重視して採用すると失敗します。パソコン関連の資格をたくさん持っている人は最近では増えています。入力作業が非常に早く、採用面接でも「10分間に800文字入力できます」と自己PRする応募者もいます。そういう応募者を採用すると、いかにも業務の効率が上がるように思えます。しかし、事務職の仕事とは入力業務なのでしょうか。むしろ純粋に入力だけしていればいいような仕事は少ないはずです。
事務職といえど業務内容によっては、仕事に対する細かな気配り、周囲との良好な関係づくり、ストレス耐性などが求められる場合もあるはずです。事務職の場合、パソコンスキル以外にも協調性や感受性、対人関係構築力なども重要なスペックとなります。
優秀な人材だと思って「採用したけど使えない」ということがよく起こるのは、「どんな仕事をさせるのか」が不明確であったケースが実は多いのです。採用目的が曖昧だから税理士や公認会計士、社労士などの国家資格を持つ人材や、OA資格を持つ人材が応募してきたら、その資格に目を取られ間違った人材を採用してしまうのです。
次のページでは、採用基準を「心・技・体」で整理する方法を紹介しています。