手順-その1
マンションリフォームの時期を見極める
古いマンションの浴室。カビが酷くなってきたらそろそろ交換リフォームの時期(人気の築古マンション!リフォームはここに注意より)
マンションの区分所有者、つまり各戸の持ち主は、専有部分と呼ばれる居住部分を適切に管理する必要があり、また長く快適に暮らしていくためには、設備や建材の定期的なメンテナンスや、機器類を入れ替えて新しくするリフォームが必要です。
リフォームのタイミングは、細かいメンテナンスは5年毎、機械の寿命は10年~15年、設備機器の交換や内装のやり替えは20年前後が目安になります。劣化が進んでしまってからリフォームすると、無駄な手間が掛かり、水もれなどのトラブルを起こすこともあるので、時期をしっかり見極めて実施することが大切です。
【5年毎に行ないたいマンションリフォーム】
- 水栓金具やトイレのパッキン、フローなどの部品のメンテナンス
- 網戸の張替え など
【10年~15年で行ないたいマンションリフォーム】
- キッチンコンロの交換
- ガス給湯器の交換
- 換気扇の交換 (フィルター掃除・交換は定期的に)
- サッシの戸車・クレセントの交換
- 壁紙の張替え など
【20年前後で行ないたいマンションリフォーム】
- キッチンセットの交換
- ユニットバスの交換
- 洗面台の交換
- 便器の交換
- 電気温水器の交換
- 床の張替え
- 内装のやり替え
- 生活スタイルに伴う間取り変更 など
<ポイント>大規模修繕の時期と内容を確認
注意したいのが、共用部分をリフォームする大規模修繕の時期です。大規模修繕では、サッシの交換工事や配管の更新など、専有部分での工事が必要になることがあります。
また共用部分のリフォームと、個人のリフォームの時期が重なると、材料の搬入や駐車場の確保の問題でトラブルになることもあります。専有部分のリフォーム計画を立てる際は、大規模修繕の時期と内容をよく確認し、二度手間や工期の重なりが無いよう注意しましょう。
手順-その2
マンションリフォームでできること・できないことを確認する
マンションは専有部分と共用部分に分かれる。パイプスペースは共用部分。個人がリフォームできる範囲をよく確認しておこう(マンションのキッチンリフォームを成功させるポイントより)
マンションに住む人は、マンション管理規約と使用細則を守る必要があり、そこにリフォームに関する約束事も書かれています。マンションでは、個人がリフォームできる範囲は専有部分に限り、共用部分は個人でリフォームすることはできません。
専有部分とは分かりやすく言えば、コンクリートの壁や床、天井、サッシの内側部分です。コンクリートでできた壁やエレベーター、共用廊下などは共用部分に属します。玄関ドアやサッシ、ベランダは専用に使用はできますが、持ち分は共用部分に属するので、個人で勝手にリフォームをすることはできません。
また部屋を間仕切る薄い壁は撤去したり動かしたりすることができますが、隣の住戸との境目のコンクリートの壁や、壁構造のマンションで間仕切り壁もコンクリートでできているの場合は、穴を空けたり移動したりすることができません。
水まわりの移動ができるかどうかは、現在の配管状況や床下にある空間の高さによって変わりますので、マンションリフォームの経験が豊富なリフォーム会社によく相談しましょう。住戸内に貫通している「パイプスペース」と呼ばれる縦管が集められている部分は共有部分のため、移動などのリフォームはできませんので注意しましょう。
マンションリフォームの約束ごとはマンションごとに少しずつ異なります。専有部分だからといって、何でも勝手にできるわけではありません。リフォームの計画前に、マンション管理規約や使用細則をシッカリ確認しましょう。
<ポイント>サッシのガラス交換ができるように
マンションのサッシは共用部分ですが、専用に使用する権利が認められているため、専用使用部分と呼ばれています。ただしあくまでも共用部分のため、これまでは個人では勝手にリフォームはできませんでした。
しかし平成16年にマンション標準管理規約が改正になり、断熱や防犯などの性能向上のための窓ガラスの交換リフォームが認められるようになりました。エコガラスに交換すれば住まいの快適性は格段に上がり、低層階の場合は防犯ガラスに交換することで安全性が高まります。ガラス交換の希望がある場合は、まずは管理組合に相談してみましょう。
手順-その3
現場を見てもらい、リフォームのプランと見積もりを取る
リフォームの希望がある程度まとまったら、リフォーム業者に見積もりを取ります。マンションリフォーム費用を算出するためには、現状の確認が大切ですので、現場を見てもらってから見積もりを出してもらいましょう。
その際には、こんなリフォームをすれば快適になる、ローコストになるといったプラン提案をして貰うといいでしょう。自分では思いつかなかったようなアイデアが出てくることもあります。それらのプランや費用を比較しながら、自分に合ったリフォーム業者を選んでいきましょう。
リフォーム業者が決まったら、金額とプランの確認をして、工事請負契約書を交わします。契約書に捺印する際には、金額と工事内容を確認するだけでなく、着工の日程や工事期間、保証期間、アフターメンテナンスについての確認も忘れずにしましょう。
<ポイント>マンションに慣れた業者を選ぶ
マンションリフォームには、管理規約を守っての工事、近隣への配慮、事前の申請書の作成、エレベーターなど共用部分の養生、駐車場問題など、マンションならではの細心の注意が求められます。
マンションリフォームをトラブル無く成功させるためには、マンションリフォームの実績がある業者を選びましょう。
手順-その4
マンションならではのリフォーム前準備をする
マンションリフォームでは、マンションならではの約束事が多くあります。それらを事前にシッカリ準備しておくことがトラブル防止に繋がります。下記に確認事項を記しておきますので、よく確認しておきましょう。
【リフォーム開始前に確認しておくこと】
- 管理組合への届け出、近隣の承認、工事概要の掲示など
- 工事日程の確認 [申請~承認~着工~完工]
- 電気、ガス容量の確認 [マンションでは容量に上限あり]
- リフォーム前の片付け、準備 [トランクルームの予約など]
- 仮住まいが必要なら、準備と引越しの手配
- 工事用車両の駐車場の確認
- 近隣への挨拶 など
<ポイント>近隣前の挨拶がトラブルを最小限に抑える
マンションリフォームが始まる前には、近隣へのあいさつを忘れずにしましょう。いきなりリフォームが始まってしまうと、小さな事でも気に障り、ささいな事が大きな近隣トラブルへと発展してしまうことがあります。ひとことの挨拶があれば気持ちが違います。
マンションでの近隣トラブルの事例と、リフォーム前の挨拶範囲や、手土産や手紙文で必ず言っておくべきことなどを下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
手順-その5
終わったら都度、担当者と一緒に完了確認をする
工事が終わったら、リフォーム業者と一緒に工事範囲の完了確認を行ないましょう。住みながらのリフォームでは1部屋ずつ仕上げ、終わった箇所から使用しますので、後で傷が見つかった場合など、誰が傷をつけたのか責任の所在があいまいになりがちです。
このようなトラブルを防ぐためには、全ての工事が終わってから完了確認を行うのではなく、終わった部屋ごとに確認することです。どの時点でついた傷かがわかれば、責任範囲がはっきりして無用なトラブルを防ぐことができます。
<ポイント>想定外の追加費用の発生を防ぐ
工事が終わってから追加費用が掛かることがわかった!というトラブルもあります。想定外の追加費用の発生を防ぐためには、追加で発生する可能性がある費用を事前に聞いておきましょう。契約後に工事内容の変更があった場合は、最後にまとめて計算するのではなく、都度費用の確認をしておくと安心です。
マンションリフォームで特に注意を払いたいのが水まわりの計画です。下記に、マンションならではのキッチンと浴室リフォーム成功のコツを詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
マンションリフォームで起きやすいトラブルを防ぐ方法は下記でご紹介しています。
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