ナポレオン3世時代の最高傑作、オペラ・ガルニエ
ルーブル美術館の北側というパリの中心地に堂々とそびえ立ち、ターコイズグリーンのドームと金の装飾が特徴の舞台芸術の殿堂、オペラ座、通称オペラ・ガルニエ。1800年に皇帝ナポレオン3世が貴族と裕福層の社交場として建設を命じたことにより進められ、1875年に完成。設計はコンペティションで選ばれた当時は無名だった35歳のシャルル・ガルニエで、オペラ座の「ガルニエ」という通称はこの設計者の名前から来ています。古典様式に加え、皇帝が好んだというバロック様式もふんだんに取り入れた建築と豪華な内装で知られています。数々の世界の著名な舞台人がここオペラ・ガルニエで公演をしましたが、2007年に市川海老蔵・團十郎の歌舞伎公演が行われたことは記憶に新しく、フランスでも大変話題となりました。
ちなみに、現在パリではオペラ座と呼ばれる劇場が2つあります。1つ目が今回紹介するオペラ・ガルニエで、もう一つは、ガルニエ建設100周年、フランス革命200周年の記念として1989年にバスチーユ広場に建てられたオペラ・バスチーユまたの名を新オペラ座。現在では、ガルニエではバレエ公演を中心に、バスチーユではオペラ公演を中心に上演されています。
まずは、その美しさを外から眺めてみる
とにかくきらびやかで華やかなオペラ座の外観。まずは天井部分に注目してみましょう。青銅色のドームの頂上には、金の竪琴を持った音楽の神アポロンの姿がそびえ立ち、そしてその手前の両端には、芸術の神ミューズの金の彫刻がまぶしく輝いています。次に、目線を地上に落としましょう。正面右には、現在はオルセー美術館に展示されているカルポー作のコピーである彫刻「ダンス」、そして奥の中央ロビーに続いている、正面の2重列柱のバルコニーも忘れずに見ておきましょう。
このオペラ座建設には、当時は最先端の建材として注目を集めていた鉄が使われており、完成後には同じく鉄の建築物であるエッフェル塔が完成しています。