フレンチ/東京のレストラン

アンブローシア(新宿 京王プラザホテル)(2ページ目)

リヤドロミュージアム展と現代フランス料理の饗宴が密かな人気を呼んでいる。「伝統」と「革新」が同居するアートと料理。この組み合わせが新しい味わいと感動を呼ぶ。5月31日

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

アイデアと工夫に満ちた現代フランス料理の数々

今回の料理を担当する佐藤進一シェフの料理には細部に亘り、彼ならではの美学が散りばめられている。フォアグラのポワレは赤蕪のピュレとチップスが添えられる。フォアグラの味を引き立てるソースは爽やかなオレンジのマルムラード。そこに赤蕪と色を揃え、クリスタリゼされたバラの花びらが寄り添う。主役のフォアグラに寄り添うように脇役陣が固められ、それぞれの個性的な役者が味わいの拡がりを奏でていくようだ。視覚は味覚を高めることはよく知られてはいるが、この前菜はまさにそれにあてはまる。
京王プラザ

フォアグラのポワレ

セロリやニンジンなどのスープはバターやオイルを使わずに野菜だけの出汁でまとめたもの。シンプル故に逃げ場のない料理だが、野菜出汁の取り方に熟練の技術が垣間見え、こういったスープを毎日いただきたいと思う人はきっと多いのではないだろうか。すーっと身体に染みこんでいく澱みないスープは次のオマールの料理へ続く序奏曲とも言える。
野菜

野菜だけのスープ

カナダ産オマールは軽く火を通したホタテと共に運ばれる。サフランのリゾットが詰められた花ズッキーニはビジュアルとしても料理としても心地良いアクセントとなる。素材の贅沢さをシンプルな調理法で実現した初夏らしい仕上がりになっている。
魚料理

オマール海老

メインディッシュには少しのサプライズが欲しかったが、優しく煮詰められた赤ワインのソースが牛フィレ肉に絡みつく王道を行く料理。ソースにはエシャロットとニースオリーブが共に煮込まれていることで、単なる赤ワインソースではない軽やかながら複雑な味わいを醸し出している。ここはブルゴーニュのひとランク上の赤ワインが欲しいところ。
京王プラザ

メインディッシュ

40年に亘り技術の継承が脈々と受け継がれたアンブローシア。今の時代はガストロノミーの難しい時代と言われている。しかし、絶やすことなくアイデアと料理そのものの魅力を持ちながら今も正統派フランス料理の明かりを灯し続けている。

ホテルならではの空間を使った「料理とアート」。共に伝統と革新がリヤドロにちなんだメニューは5月31日(火)まで開催されている。

アンブローシア(西新宿京王プラザホテル内)
〒160-8330 新宿区西新宿2-2-1
TEL.03-3344-0111(代表)レストラン予約
無休


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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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