バングラディッシュから見た日本
東京の不動産よりもダッカは高い?
縁あって、5月にバングラディッシュに行ってきました(知人の紹介で)。北海道の倍にも満たない国土に、1億4,000万人以上の人々が住むバングラディッシュ。国土の多くが沼地や河川が流れる湿地帯であり、国民一人当たりのGDPは、684ドル(2010年度 暫定値)、ちなみに日本は、3万3478ドルです。インドの東、ミャンマーの北に位置し、イスラム教スンニ派が約9割を占めます。未だ発展途上のバングラディッシュですが、経済成長率はリーマンショックの影響のあった2009年度でも5.7%と伸びており、近年中国の内需拡大政策による人件費の上昇で、安い人件費を求めて各国からの投資や輸出が活発化しています。
特に、衣料品は主生産品目で、日本でもファーストリテイリング(ユニクロ)をはじめ取り引きを増やしています。彼の地でもインド人、中国人、欧米人など各国からやってきた多くのバイヤーを見かけました。
他の新興国と同様に、この地でも不動産投資が活発化しておりここ数年で、70%以上価格が上昇したエリアもあるそうです。
バングラディッシュでは、急速に経済規模が拡大した中国・インド・ロシアのように、時代の波にのって所得を増やした富裕層が、こぞって不動産に投資しているようです。道路の整備が遅れがちで、投資対象になる住宅地が限られていることも上昇に拍車をかけています。
ダッカの新築マンションが約6,000万円超
家賃は、月々8万円程度
ダッカの中でもかつて高級住宅街として開発されたダンモンディ地区は、川や池のほとりのエリアで、地元の富裕層に人気のエリアです。現在建築中のマンションは、既に完売とのことでしたが、価格は円換算で約6,000万円超。間取り図の表記が異なるためおおよそ30坪ぐらいの広さと推察しましたが、それでも坪単価200万円強です。ちなみに、そのマンションを貸すといくらかを聞くと月々8万円程度。マネージャークラスでも年収が100万円を超えない同地では、借りれる人も限られるとのことでした。
外国人は、法人を除きバングラディッシュの不動産を購入できない為、購入者の中心は地元の富裕層が投資目的がメインです。一般人では到底手が出ない価格なのです。ちなみにローン金利は10%以上。まさに住宅は高値の華なのです。
いわゆる所得格差は、万倍ではきかないぐらいある国柄。人件費の安い同国では、1住戸あたりの製造コストは200万円程度。よってほとんどが土地価格です。
夢では無くなった日本の不動産
ダッカに比べると、給与水準から多くの人が手の届く日本の不動産。先日乗ったタクシーの運転手曰く
「何でも揃う世の中になって、欲しいものが無くなった」
「昔、家を買うとなると給料月々1万円のところが数百万円」
「しかもローン金利は高いから頭金もかなり必要だった」
「今じゃあ、頭金無くてもローン組めるし、家を買うことが特別じゃなくなった」
「だから、夢じゃなくなったねー」
たしかに、バングラディッシュでは一般の庶民が住宅を持つことは都会なら奇跡に近い。逆に、日本では夢のマイホームでは無くなったので、よっぽど気に入った家でなければ心が動かされなくなっているのかも知れません。