その時、大使館は自国民のために何をしたか?
今回の震災では、原発事故による放射能漏れを案じ、日本に在住していた外国人留学生や研修生が一斉に帰国するという現象が見られました。また、国際結婚して日本に住んでいる人でも、子供を連れて自分の国に一時帰国するなどの動きがあり、「再入国許可」を申請するため、東京入国管理局には早朝から長蛇の列ができた日もありました。これらの背景には、日本にある各国大使館の動向が係わっています。ほとんどの大使館が、自国民の安全を考え、東京からの退避勧告や帰国勧告を出したからです。
ただ、勧告の内容は国によって異なり、チャーター便を用意してほぼ強制的に帰国を促した国もあれば、避難を示唆しただけであとは自主性に任せるといった国もあったようです。
夫のところにも、地震直後から、スイス大使館よりさまざまな連絡メールが送られてきました。その内容をご紹介します。これを読むと、大使館が自国民に対して災害時などに何をしてくれるのか、だいたい分かると思います。
■スイス大使館の場合
・3月11日 午後2時46分 地震発生
・地震発生の3時間後、最初のメール受信。
内容は在日スイス人の所在確認、安否確認と、今後の連絡先の確認など。
大使館は、当分の間、24時間態勢で対応するとのこと。
・16日
福島第一原発の状況を受けて、東北および関東地方に住んでいる人は、なるべくそのエリアから出るようにという勧告。
・18日
スイスに行く航空便に座席を確保するので、乗りたい人は連絡してほしいとのこと。この便には、本人(スイス国籍)、配偶者(日本人も)、子供まで乗れる。
航空運賃は国が負担。ただし、この指定した便以外で帰る人は個人負担となる。
・19日
再度、スイス帰国便の連絡。「強く勧める」とあるが、強制ではない。
場合によっては、関西空港から出国する帰国便を用意するかもしれないとのこと。
・その後
スイス帰国便の最終案内。再度「強く勧める」とある。
関空からの帰国便は希望者がないので出さないことになった、とのこと。
放射線対策として、希望する人にはヨウ素剤を支給するという新たな連絡(服用についての注意書きあり)。
・20日(メールでの連絡はこの日まで)
余震、計画停電、公共交通機関の一部運休などに伴い、東京での業務が困難であるとして、大使館を一時的に大阪に移転するという連絡。業務は、引き続き24時間態勢で行なう。
・その後(ホームページにて告知)
4月5日より、東京に戻って業務を再開。現在は月~金曜開館。
このように、各国大使館は自国民を守るために動いています。日本在住の外国人配偶者は自国の在日大使館か総領事館に、海外在住の日本人は居住地を管轄する日本国大使館か総領事館に、必ず在留届(もしくはそれに該当する届出)を提出しておきましょう。
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