シンプルで道具性の強い真のコンパクトカー
5世代目となるコンパクトハッチバック。2009年に1.4リッターエンジンを搭載した1.4コンフォートラインとして登場、2010年に軽量・高効率な2バルブSOHCの1.2リッター直噴ターボに変更された。デュアルクラッチトランスミッションの7速DSGとの組み合わせで、10・15モード燃費は20km/lとなる
ビートルからゴルフへと基幹モデルが移行したのち、ゴルフはメインモデルであるがゆえに時代の要請やニーズに“できるだけ”応えるべく進化成長を果たしてきた。その一方で、シンプルで道具性の強い真のコンパクトカー、というかつてのゴルフ本来の存在理由は、徐々にポロへと移管されてきたように思う。
ハイパフォーマンスモデルのGTI。専用チューンされた最高出力179psの1.4リッターツインチャージャーエンジンと7速DSGを搭載。0-100km/h加速を6.9秒としつつ、燃費も16.6km/lに高められている。価格は294万円
それはさておき、旧ゴルフサイズのポロで“大き過ぎる”と思う方は少ないと思うが、どうか。(ポロの性能がすこぶる上がった)今となってはゴルフの大きさがかえって中途半端に思えてしまうほど、ポロのサイズは日本の街によく似合っている。
パフォーマンスもクラス最高レベルにある。微速域から高速域まで、ビシッと筋が通っている。カテゴリースタンダードという賛辞にふさわしい。
現行型のエクステリアの仕上げ質感はなかなか素晴らしいものの、一方でインテリアはかなり素っ気なくて、仕上げレベルもほどほど。けれども走りの方はといえば、一切妥協ナシ、というか最早ゴルフ顔負けの領域。昨今のフォルクスワーゲンがとても上出来に思えるのは、ゴルフというよりもむしろ、このポロのパフォーマンスが非常に上がったせいで、全体が底上げされているからだ。
サイズがら、初心者にはピッタリな選択肢だけれども、このクルマでカーライフをスタートさせると、後が難しい。おそらくハイブリッドやEV以外の国産車には満足できない身体になってしまう。そういう意味では、クルマ選びにはちょっとうるさいぞ、というベテランにもオススメできる。そこがまた、フォルクスワーゲンの凄さでもある。